てつこてつ

めまいのてつこてつのレビュー・感想・評価

めまい(1958年製作の映画)
4.0
こちらもNHKBS4Kで約30年ぶりに再鑑賞。

「サイコ」とは対照的にヒッチコック監督作品にしては非常にロマンチックな作風かと思いきや、1950年代の作品だということを考慮しても前半が余りにもベタベタにメロドラマ風なのだが、やや小走り気味な後半の展開を鑑みての監督の計算の上での演出だと分かると感心する。

美しさが匂い立つようなヒロイン役のキム・ノヴァクのブロンドとブルネットの一人二役の演じ分けが良いし、こうやってじっくり再見してみると、主人公を演じたジェームズ・スチュワートが実は細かい演技をしているのがしっかりと伝わる。彼が中盤で見る悪夢にアニメーション取り入れるとは画期的。

高所恐怖症をカメラワークで表現した技法は余りにも有名だが、本作では主人公のキャラクターを通して、実はヒッチコック監督自身が持つブロンド美女に対する異常な執着心を図らずも露呈する形となっているのも面白い。

それにしても、ヒロインに対する仕打ちがストーリー上は一応納得はできるものの酷すぎると同情してしまう視聴者は自分だけではない筈。

ゴールデンブリッジ、坂と海が映える美しい街並みを持つサンフランシスコのロケーションが上手く活かされた作品。
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