てつこてつ

鬼談百景のてつこてつのレビュー・感想・評価

鬼談百景(2015年製作の映画)
3.4
おそらくどの配信サイトでも一番多く流されているタイプの怪談オムニバス。それだけ安易に製作できるんだろうが、本作はナレーションを竹内結子(味わいがあって良い!)が務め、全10話をしっかり堅実に作っているのが伝わり好感が持てる。

怖さを求める人には物足りないかもしれないが、この手の作品にはあまり出演しない根岸季衣を筆頭に、淵上泰史、岡山天音といった実力派の俳優陣が出演しているので、子役を含めて、皆、演技がしっかりしている。

個人的に好きな話は、やはり根岸季衣の「影男」で、謎の男がガラス戸を叩くドスンドスンという腹の底に響くような重低音が薄気味悪い。墓場で追いかけっこをする子供たちが次々と怪我をし帰宅し最後に一人だけ残る「続きをしよう」も見せ方が好きだなあ。また、最終話の「密閉」だけが明らかに他の作品とはテイストが異なり、いかにも白石晃士監督らしさが出ていて笑ってしまう。

原作は小野不由美。文庫本五巻にわたる長編「屍鬼」は、スティーヴン・キングの「呪われた町」にオマージュを捧げた大傑作で発刊当時に夢中で読んだ。ものすごく映像化に向いた作品だと思うので、映画化、もしくはリミテッドシリーズでドラマ化されないかといまだに期待している次第・・
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