いの

危険なメソッドのいののレビュー・感想・評価

危険なメソッド(2011年製作の映画)
4.0
クローネンバーグ監督作品。ユングにフロイト、そして患者としてユングの前にあらわれるザビーナ・シュピールライン(初知り)(キーラ・ナイトレイが演じている)。どんなに敷居が高い作品かと身構えもしたけど、それは杞憂にすぎなかった。敷居全然高くない! しかも観易くてスイスイいける。なんも知らなくても全然大丈夫(いのの保証付き)。初心者ウェルカム映画でうれしいな。夢分析も談話療法もなんとなくわかり申した。


これもやはりクラッシュか。性衝動を解放するか抑圧するかをめぐっての心の中での衝突。解放したい女性と抑えたいユングとの衝突。モラルとインモラルとの衝突。資産家の妻を持つ富裕なユングと、持たないフロイトとの衝突。クラッシュすることで変容する。ヒステリーというのか強迫神経症というのかわからないけど、キーナの迫真に満ちた演技に圧倒される。渾身の演技で圧巻。あと、ヴァンサンがやっぱりカッセルしてました笑!



*向学心に火が付きそう




〈追記〉2023年5月
クローネンバーグのコメンタリー拝聴したくてDVDレンタルしたのに、レンタルでは収録されていなかった💦



〈追記〉2023年7月上旬
ちょっとわけがあって大学のオンライン授業拝聴する機会に恵まれました。以下、自分用のメモ

①現代の心理学は検証可能・追試可能なデータしか扱わない自然科学、つまり理科系の学問
②精神分析にとって欠くことのできない無意識とは、定義から言っても意識の直接アクセスできない領域だから、検証できるはずもない。精神分析は文科系の学問、いわば哲学に近いもの。


〈追記〉2023年7月中旬
セル版購入できたから(もう発売終了になっていたため中古を購入)、クローネンバーグのオーディオコメンタリー拝聴することができます!楽しみ~♪


〈追記〉2023年7月下旬
クローネンバーグのオーディオコメンタリー拝聴しました。準備に9年かかったとのこと。精神分析家たちの映画だけあって、当時の手紙や文などが数多く残っているそうで、かなり史実に忠実に制作されているそうです(ただし、もちろん全てではない)。クローネンバーグは、「これは事実を脚色した場面」といちいちおっしゃってくださってありがたいのであったのだ
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