tanayuki

千年女優のtanayukiのネタバレレビュー・内容・結末

千年女優(2001年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

ネトフリ新作に上がってたので久しぶりに鑑賞。藤原千代子が演じてきた役の名前が全部「千代子」なのは、都合よく改変されたニセの記憶だからなんだろうが、息を吐くようにウソをつく女優という生き方に対するリスペクトの念が、同じくザ・女優を描いた是枝監督の『真実』を見てから、いっそう増した気がするのは、なんと表現したらいい心持ちなんだろうか。自分はきっと、好きな女の人にずっとダマされていたいのかもしれない。

△2022/07/03 ネトフリ鑑賞。スコア4.8

いちばん大切なものを開ける鍵が開けたのは、名も知らぬ一人の男を一途に追い続けた自分自身の報われない甘美な記憶だった。「だってアタシ、あの人を追いかけてるアタシが好きなんだもの」

キャリー・フィッシャーが若かりし頃のエピソードとして、言い寄ってくる男たちに「お前なんかにプリンセス・レイアを抱かせてたまるか」とガードを固くしたと語っていたのを何かで読んだが、役者である前に一人の人間である人と、どこまで行っても役者であることから離れられない人とでは、生き方そのものが違ってくるのかもしれない。その違いは、もしかしたら、自分のことがどれだけ好きかで変わってくる気がする。自分がどうしたいかよりも、自分がどう見られたいかが主な関心事というか。それこそ、ザ・女優、だと思うのだけど、どうだろうか。

一途といえばインタビュアーの立花源也もかなりの一途。藤原千代子は見えない相手を追い続けたが、立花源也は目の前にいる相手を支えながらあと一歩を踏み出すことができなかった。惚れた相手がまずかったのは同じだが、悲恋さ度合いでは社長のほうが上かも。狂言回しが役柄を変えて物語に介入する入り組んだ設定は後年のパプリカを思わせる。

△2020/09/09 BD登録。スコア4.8
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