ほ

サニー 永遠の仲間たちのほのレビュー・感想・評価

サニー 永遠の仲間たち(2011年製作の映画)
4.6
あのころ、弱かったから、最強だった。

旧友に再会し、過去を思い出すお話。
過去への転換が驚くほどスムーズで、映像的にとても面白かった。
シーンが時間・空間によって成立するものなら、この作品では同一の空間であるということをあえて説得力を持たせた映し方で、時間だけを遡らせていた。
その手法が、「この作品はこういう話だよ。この子が主人公だよ」というのを表現するのに手っ取り早かったし、より没入感を誘った。

そして音楽は常に思い出に寄り添ってくれていた。
劇中のいたるところに、おそらく当時の質感の音楽が流れていて、女子高生の彼女たちの住む街の空気に馴染んでいた。
ただただ楽しげなその音楽とは裏腹に、何度も出てくる「軍隊」や「独裁反対」という言葉。よそよそしく繰り広げられる運動と彼女たちの日常はおそらく当時の雰囲気をそのまま映しているのではないかと思った。
しかしそれら社会的な闘争と彼女たちの抗争がリンクしたシーンは圧巻だった。
映画だ、と思った。

何度も声をあげて笑ってしまった。
それくらい、ダサくてかっこ悪くて、必死だった。
途切れてしまいそうなほど溢れ出るエネルギーが、なんだか羨ましくて、恥ずかしくて、歯がゆくて。
彼女たちが、ただただ大切なものが失われていくのに憂いている人たちじゃないのが、観ていてとても気持ちよかった。
ほ