円柱野郎

三大怪獣 地球最大の決戦の円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

三大怪獣 地球最大の決戦(1964年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

ゴジラシリーズの第5作。

「モスラ対ゴジラ」と同年に公開された作品で、その公開間隔の短さがどのように影響したのかは分からないけれど、ゴジラ・ラドン・モスラの東宝三大怪獣を登場させたお祭り映画という印象も受ける。
最初は反目して戦っていたゴジラとラドンが、モスラが説得したことで最終的に3匹が共闘して、地球の脅威となる宇宙怪獣キングギドラとの対決。
対決物のフォーマットとしてはお約束の展開以外の何ものでもないよなw

作品の毛色としては、ここからがゴジラにとっていわゆる「昭和ゴジラ」のヒーロー的な立ち位置が強まっていく感じ。
さらには怪獣同士の鳴き声やしぐさによる意思疎通も描写されて擬人化が進むんだけど、正直それは…あまりにも安っぽくなりやせんかねえ、と大人になった今では思う。
反面、子供にはウケそうな気はするので、やはり作品としては怪獣という存在に込められた大人向けの暗喩よりも、表面的なキャラクター性を生かした子供向けの娯楽作品というスタンスなんだろう。
安っぽいスパイものみたいな展開と演出も、分かりやすさ優先と思えば…。
(金星人設定は突飛だが。)

登場人物は演じる役者はゴジラシリーズにも何度も出演している人が多いけれど、毎回違う役どころだよね。
例外は小美人のザ・ピーナッツくらいかな。(これで小美人役は3作目)
セルジナ公国という外国の王女やその刺客も登場するけれど、それを演じるのはもちろん日本人…これはご愛嬌ですな。
あと「キングコング対~」や「モスラ対~」にはあった東宝喜劇調の演出もは、本作ではなくなってた。
代わりに…たぶんシリアスなんだけど何故かギャグに見えてしまう場面があったりした気がするが…。
(終盤、自意識を取り戻した王女(若林映子)が主人公の新藤刑事(夏木陽介)に「あなたは?」というシーンで、刑事が「私は日本の刑事、そしてあなたのボディガード…」とかっこつけた矢先に拳銃をはじき落とされて「あっ」と言うのには笑ったw)

まあ全体的にお祭り映画と思えばありだとは思う。
怪獣の人格やキャラクター性を強調することについて考えさせられる作品でもあるけど、今後のシリーズがその傾向を強めることを考えると、そのきっかけとしては興味深い。
あとはキングギドラのデビュー作としての価値ってところか。
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