ほーりー

ニッポン無責任時代のほーりーのレビュー・感想・評価

ニッポン無責任時代(1962年製作の映画)
3.9
植木等御大が亡くなって早11年。一ファンとして演芸マニアの先輩と青山葬儀場で営まれたお別れの会に行ったのがつい昨日のことのように思い出される。

それまで大映で2本撮っているが、クレージー映画の元祖と言えばこの作品。

1962年夏公開の「ニッポン無責任時代」は小林信彦氏著「日本の喜劇人」によれば、あの大島渚監督が「どうしてあんなに面白いんだろう」と言うほど大好きだったという(あと続編も)。

「愛のコリーダ」や「戦場のメリークリスマス」を作った人からは想像できないけど、その後ボキャブラの審査員も務めたことを考えると、笑いが好きな人だったんだろうと思う。

正体不明の無責任男、その名も平均(たいら ひとし)が主人公である本作は、無責任ながらも会社を狙う乗っ取り屋を相手に鮮やかに立ち回る痛快コメディ。

「遅刻しちゃいけないって会社なんて誰が入るもんかい」と言って、堂々と朝寝して重役出勤するシーンのなんとカッコいいことか!!(笑)

何で自分がお客さんに怒られなきゃいけないんだろう……。

何でこんな夜遅くまで働かなきゃいけないんだろう……。

何で毎朝満員電車に乗って出勤しないといけないんだろう……。

ああ本当なら全部投げ出したい(苦笑)

この一般ピープルがやりたくてもできないことを平然とやってのけて、なおかつ全部上手く収めてしまうこのスーパーマンの姿を見ると、本当に胸がスッとする思いになる。

続編に比べるとまだまだお堅いのだが、恐らくクレージー映画のビギナーの方はやはり原点である本作から観始める方がいいように思う。

続編はさらに狂った内容なので(^-^;

■映画 DATA==========================
監督:古澤憲吾
脚本:田波靖男/松木ひろし
製作:安達英三朗/渡辺晋
音楽:神津善行
撮影:斎藤孝雄
公開:1962年7月29日(日)
ほーりー

ほーりー