コーカサス

天国は待ってくれるのコーカサスのレビュー・感想・評価

天国は待ってくれる(1943年製作の映画)
3.8
ヘンリー (アメチー) は生涯を終え、天国行きか地獄行きかの判断を仰ぐため、閻魔大王 (クリーガー) の待つ地獄の受付所を訪れると「自分は天国にふさわしい人生を送らなかった」と告白、「さっさと裁きを下し、地獄行きにしてください」と懇願する。
そんなヘンリーに興味を示した閻魔大王は「あなたの人生の物語を聞こう」と促し、彼の生涯を聞き出すことに。

傑作『ニノチカ』でユーモアを教えてくれたルビッチ監督が、また心温まるロマンチック・コメディを届けてくれた。

地獄の受付所とは思えないお洒落な空間から始まる小粋な会話から、テクニカラーによる鮮やかな映像美、40年代のファッション、そしてアルフレッド・ニューマンの音楽が素晴らしい。

1940~50年代におけるハリウッドのロマンチック・コメディは傑作揃いだが、中でもルビッチ監督の手掛ける作品はどれも一際飛び抜けているように思う。
彼を師と仰ぎ、後に50年代を代表する巨匠ビリー・ワイルダー監督の尊敬の念も十分うなずける。

人は知らず知らずのうちに、誰かを幸せにしているもの。
だから、もしもあの受付所を訪れることがあっても安心してほしい。
天国は必ずあなたを待ってくれているはずだから。

275/275 2020