チッコーネ

ナンバー・スリー NO.3のチッコーネのレビュー・感想・評価

ナンバー・スリー NO.3(1997年製作の映画)
4.0
予告だけ観ていると様式的なヤクザものといった趣だが、実際に鑑賞すると、印象はガラリと変わる。
サブキャラたちの傍流エピソードにかなりの時間が割かれており、いちいちコメディタッチ。
しかもクライマックスで全体をきれいに収束させる器用さまで持ち合わせていた。
演出には香港映画からの影響を感じるが、中でもカルト系パトリック・タムの天衣無縫さを、思わず想起…、『新装開店』や『クワイエット・ファミリー』を観た時も感じたが、この時期の韓国映画のシュールさ、近年作からは失われているし、意外と捨てがたい。
新興団地のコンクリート・ジャングルで迎える早朝から一転、日中の緑豊かな森の中に転換する鮮やかなカット繋ぎなど、編集も冴えていた。

俳優陣が非常に豪華なのは、いわずもがな。
2年後の大ヒット作『シュリ』で競演する3人がすでに顔を合わせているほか、『女校怪談』のイ・ミンヨンがヒロインを務めている。
ハン・ソッキュはこの時期が全盛期で、『シュリ』以外にも『八月のクリスマス』、イ・チャンドンのデビュー作、そして『カル』など出演作に恵まれまくっていたが、近年は一歩も二歩も後退している感じ。
そもそも「なんでこんな不細工が人気だったの?」と疑問に思うしかないルックスだが、『等身大の韓国庶民顔』というポジションは、三の線も厭わないソン・ガンホに奪われてしまった格好だ。
出演場面が少なめのミンシク先生は減量前、でも作品内で復活してきた時は思わず拍手。