感染症の脅威に晒されている一般庶民を鼻であしらい、貴族向けの晩餐会を催し続ける王(ヴィンセント・プライス)が、不思議な赤マントの男と接触する。エドガー・アラン・ポー著「赤死病の仮面」「跳び蛙」を映像化している、ゴシック・ホラー。
全身大流血の末に絶命してしまう、恐怖の赤死病(架空の感染症)が蔓延する最中、悪魔崇拝者の王が貴族仲間と共に乱痴気騒ぎを満喫。上流階級を揶揄するような風刺が効いており、貴族役のエキストラ勢による、コスチューム・プレイに目が奪われる。
登場人物では、支配下の村から連れてこられた少女が、スクリーミング・アクトレスを好演。城内の有象無象を目の当たりにする、庶民視点の役割をもたせることに成功している。「跳び蛙」に登場する、小人の芸人のシークエンスも独特の味わいを作っている。
単色の部屋を横移動する演出(原作にもある)が印象鮮烈であり、後のジャッロへの影響を推量することが可能。余談だが、ヒロイン役のジェーン・アッシャーは、当時ポール・マッカートニーと交際しており、ザ・ビートルズの楽曲のモデルになっている。