このレビューはネタバレを含みます
ジブリ映画の最高傑作だと思う。最高。
確か、映画館は超満員で通路に座って見たような。
アシタカは、ナゴの守、乙事主、シシ神に「鎮まりたまえー!」をやって、三度目で、ようやく成功するんだな。なるほどな。昔話によくある三度の法則。
大人になってからようやく、サンが短剣でアシタカの胸を突いた、あの瞬間、カヤの怨念は晴れたと思えたし、アシタカはもはやヒトではないのだなと明らかになって、好きにしたまえよと思えるようになった。
「私は人間だ、そなたも、人間だ」と言いつつ…ヒトじゃなくなってるんだよなあ…
山犬にもヒトにもなれないサン、呪いを受けてヒトならざる者になったアシタカが、ヒトの為に命を賭し、荒ぶる神を鎮める。
完璧だよな…そう、そうなんだよ、彼らでなければならなかったんだよな…
西洋文化圏には理解しにくい価値観なのだろうなあと思う、どうやったら伝えられるのかもわからん、英語吹替でタタリ神がdemonと訳されてしまうんだもんなあ…ちょっとやっぱり違和感あるよなあ…
効果音の使い方、静寂の使い方、歌&音楽の使い方、音の演出がとにかくめちゃめちゃ良い作品。すごい。
森の描写、結末といい、ナウシカと対になってる部分があるよな。。
あと、火の鳥。火の鳥の、太陽編。ものすごく彷彿とした。
いまみると、タタラ場の女たち、その強さがちょっと疲れる、と思ったけど、人買いに売られた女たちなんだなぁと思うと、姦しく、男ども、情けなさすぎだろ、とか。
エボシのつくる鉄が、人買いに力を与えてる、あの矛盾をどう考えるべきか、わからんね。
しかし、ジコ坊の小悪党っぷり、絶妙だよな。。声の力がすごい。
災害を経て実感した、おトキの台詞「生きてりゃなんとかなる」の重さ。
もー、ほんと、すごい。
ただ、いまもう、この映画の結末のような、自然の再生能力を信じられなくなってるというか、ぽんぽこのような夢はもう見れないし、むしろナウシカのように地球の浄化の過程で人間は淘汰されるんだろうな…というのが実感として迫ってきてる感じはある、末法の世だね…2016年。
2020.7.15.
人生二度目のスクリーンでの鑑賞