緑雨

もののけ姫の緑雨のレビュー・感想・評価

もののけ姫(1997年製作の映画)
3.5
腐海は森に、蟲はイノシシに、巨神兵はタタリ神に。ナウシカとの相似性を指摘するのは容易い。憎しみの増幅が破壊へと至る構図も同じ。
一方で、主人公の役割はアシタカとサンに分裂し、エボシのパーソナリティはクシャナに比べても相当に複雑で矛盾を抱える。
自然と文明の対峙、アニミズムといった分かり易いモチーフに加え、差別やジェンダー、地方自治までテーマはごった煮と化し、何の説明もなく矢で首が吹っ飛んだりする前衛性やタタラ場の女たちが何故か胸の谷間を強調する幼児性など表現の面でも混沌を為す。
宮崎駿の狂気を全盛期ジブリの総力を尽くして飲み込んだ、この作品自体がタタリ神並みの怪作なのだ。
緑雨

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