ぬーたん

セクレタリーのぬーたんのレビュー・感想・評価

セクレタリー(2002年製作の映画)
4.0
この作品、凄いです。
SMのエロい映画、などと侮ってなめてたら、ガツンと来たわ。
まだ髪がフサフサの頃の色っぽいジェームズ・スペイダー目当てで観たが、
唯一無二の個性作品に釘付けになった。

エドワード・グレイ弁護士をジェームズ・スペイダー。
『ブラック・リスト』ではハゲデブでビックリ。
別人に見えたが、回を重ねるうちに、やっぱりダンディーでイケメンに見えて来た。
大した演技力のお方です。
セクレタリーのリーを演じるのはマギー・ギレンホール。
ジェイクのお姉さん。
自傷行為を繰り返し、他人に心を閉ざしている。
グレイの調教?によって徐々に自立し自信を持って行く。
決して綺麗というわけではなく、細くて色気もないが、この役にぴったりで、感情の変化が良く表現されていた。
脱ぎっぷりもよく、嫌らしくないのが良い。
ただし、やたら飛び出てるあばら骨が気になったわ。
おどおどした前半からは考えられない、後半の頑なな芯の強い行動には驚かされる。
一方、グレイは一筋縄ではいかない、複雑な人間で、最初は不気味な印象が、ラストの風呂のシーンでは魅力的にさえ見える。
まあ、いい男だしね。ハゲてデブでもいい男だから、この頃は勿論よ。
ちょっと首を傾げて話す癖とか、口調とか、特徴ある。
ハゲたブラックリストでも変わらない仕草。

たった1時間半で、何やら変態なシーンばかりなのに、いつの間にか、好意的に観るようになる。
これは、2人の俳優の力と脚本の凄さ。
SM性癖のシーンあり、コメディーのように笑えるシーンあり、
ホンワカさせられるシーンあり。
先が読めない、とんでもない展開に驚かせられる。
終わってみれば、とってもピュアな2人の不器用で哀しい、そして情熱的で不安定な、恋愛映画だったと感じる、作品だ。

弁護士事務所の廊下の色彩や暗い陰湿な雰囲気や、全体にぼやけた景色の前半から、後半とのギャップが、2人の心の変化を表しているかのよう。
細かい小道具や演出も面白い。

エロい作品を求めている人にも、恋愛映画を観たいと思う人にも、決して裏切らず、だが決して応えず。
観客に媚びていないね、尖ったままで突っ走った作品だ。
万人に勧められないが、
もの好きかも?という方は観てね。
ジャケットが観客を選んでしまい残念。
ぬーたん

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