Moeka

狼の時刻のMoekaのレビュー・感想・評価

狼の時刻(1966年製作の映画)
4.0
ゴダールの『軽蔑』を想起させる、これから始まる世界は“映画”であると観客に思い出させるスタートを切る。映画内で起こる悪夢的一連の流れはベルイマンの精神世界と見て間違いはないように思う。パートナーで女優のリヴが役と同じくこの時期ベルイマンの子供を宿していたというエピソードはなかなか強いwww 自身の創作に対する欺瞞や疑問、魔笛の人形劇も挿入されるようにひたすら芸術家としての苦悶が鬱々と描かれているのは印象的だが、この映画と違ってベルイマンは自戒しつつ映画を撮りつづけたという事実が心強い。夜明けがすぐか、また永劫に夜が続くかもわからず、受胎と死の時間を意味するタイトル。身を削って芸術に身を捧ぐというのはこの時間を耐え続けることなのではとも考える。
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