円柱野郎

ベンジャミン・バトン 数奇な人生の円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

主人公の成長が、何故“老人→青年→赤ん坊”へと成長していくのかについては、ファンタジー映画だから気にはしない。劇中の登場人物も、そのことについて不思議には思っても“何故だ”とは考えないもんね。そういうもんなのだ。
その上で、“老い”を逆回しに体験する主人公は、数ある人生の内の一つとして描かれる。エピローグがまさに物語っているけど、若返る事が奇異なだけで“ただの一人の男の物語”なんだと思う。育ての親に愛され、友人を亡くし、幼なじみを愛した一人の男の話。周りの人が老いる中で自分だけが若返ることは強烈ではあるけど、だからこそ真剣に人生というものを考えて向き合える話だったかな。
主人公を演じたブラッド・ピットは、見事なVFXとメイキャップで老人から青年まで若返っていったね。まさにCG技術の進歩が生んだ説得力だけど、それを安直なSF映画ではなく、こういったドラマに生かしているというのは良い。
監督は「セブン」のデヴィッド・フィンチャーだけど、一部の雰囲気以外は今までのフィンチャーっぽくない気もする(良い意味で)。ストーリーラインが「フォレスト・ガンプ」(脚本家が同じ)を想起させる部分も多いので、「フィンチャー版『ガンプ』」と言ったらそう思えるかもねw 
一つ残念だったのは、現代のシーンでハリケーンが上手くストーリーに絡んでいるように思えなかったところか。ロケ地がニューオリンズなので、“カトリーナ”のことを外せなかったという米国人の気持ちは分からなくもないけど…。
円柱野郎

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