うにたべたい

カルティキ/悪魔の人喰い生物のうにたべたいのレビュー・感想・評価

3.9
イタリアのモンスター映画。
モノクロ・73分。
「怪獣ウラン」、「マックイーンの絶対の危機」と並び 、不定形モンスターの代表として上げられる一作です。
ハマー・フィルムの"ウラン"、リメイクもされた"マックイーン"に比較すると地味なポジションかなと思いますが、他の2作に比較すると、一番しっかり作られていると感じました。
"ウラン"も"マックイーン"もどこか箱庭的なシナリオなのですが、本作は広い世間との繋がりを感じました。
ただ、怪物があまり暴れ回らないんですよねー。
不定形モンスターの魅力である、どこでも忍び込み、無機質に殺す不気味さを感じるシーンは少なく感じたのが残念。

絶対の栄光を誇ったマヤ文明衰亡の謎を探るべく、マヤの遺跡でキャンプをしていたフィールディング博士の一行。
その研究員の一人・ニエトは、「カルティキ」という言葉を呟きながら洞窟から戻ってきます。
尋常ではないニエトの様子から何かあると洞窟を訪れた一行は、そこでマヤの邪悪神「カルティキ」の神像を発見、さらに調べを進めるため、洞窟湖に潜ると、ダイバーは溶けた姿で引き上げられ、巨大な不定形の生物が姿を現すというストーリー。

洞窟で発見されたこの怪物は一部を残して焼き殺されちゃうのですが、研究のために持ち帰ったその一部が巨大化し暴れ出す展開となっています。
マヤの遺跡をから発見されたモンスターということでロマンを感じますが、人を襲う描写は序盤と終盤のみと比較的少なく、特に平穏に生活を送っている一般住民を襲うようなシーンがないです。
ブヨブヨしていますが、動きは遅く、見た目はボロ雑巾のお化け。
自分から近づきでもしない限り捕まることはなさそうですし、あまり不気味さのようなものは感じませんでした。

どちらかというと人間ドラマ部分の方に力を入れているように感じました。
序盤、マヤの洞窟でマックスという男が欲に目が眩んでカルティキに襲われ、半身に重傷を負うのですが、このマックスがカルティキ以上のモンスターで、リンダという女性に言い寄られながらフィールディングの奥さんに執着します。
看護婦を殺して病床から抜け出し、旦那が留守のフィールディング家に忍び込み、電話線を切って地下に潜むイカれたガイで、その挙動はある意味マッド・マックス。
危ない男がうろつく家でカルティキも暴れ出すわで、フィールディング夫人もビックリですね。

良いSFホラーでした。
でも、"悪魔の人喰い生物"っていう邦題はちょっとなぁ。