Kevin

永遠の僕たちのKevinのレビュー・感想・評価

永遠の僕たち(2011年製作の映画)
4.5
以前交通事故で両親を亡くし、自らも臨死体験をした青年イーノックはその事故から死に取りつかれることになり、幽霊が見えるようになっていた。
心を閉ざしたイーノックには日本の特攻隊員であった幽霊のヒロシだけが唯一の友人だった。
また彼は他人の葬式に参加するという趣味がある。
そんな日々を送る中、趣味の葬式参列でアナベルという女性と出会う。
しかし彼女は病に侵されており、余命残すところ僅か。
彼らは限られた時間の中で愛を育んでいく...。

ガス・ヴァン・サントが送る切なくも温かいヒューマンドラマ。

“生と死”という、命あるものから切っても切れない出来事のうち、本作は限りなく“死”について描いた作品。
それでも沈み過ぎない内容で最後には爽やかな気分になれます。
最後の彼のとった行動は忘れられません。
あの終わり方にした脚本に感心しました。

沈み過ぎないと言ってもやはり観ていて辛いですし、悲しいですし、泣かされました。
しかし“死”というものが必ずしも負の出来事ではない、希望を持った出来事でもあるんだと知らされます。
そういう点でも本作はどこか前向きになれる作品です。
邦題もぴったり。

僕は洋画の中に日本関連のものが出てくる作品はあまり受け付けないのですが、この作品にはそのような感情は不思議と抱かなかったです。

恥ずかしながら加瀬亮という名前すら知らなかった自分。
ですが彼という存在はこの作品にとって必要であったのは事実です。
そして彼の演技に魅せられたのも紛れもない事実。日本の俳優も捨てたもんじゃないな、と上から目線は承知の上でそう思いました。
作品自体も日本に対して様々な想いが込められているのを感じ、日本人として嬉しかったです。
日本人として感謝を送りたい。
素敵な作品をありがとう。

最後に心に残ったセリフを1つ。
“思いのたけを述べたいのに少しの時間しかない。人生の時間は限られてる。”
だからこそ大切な人と一緒にいたい。
そのたとえ短い時間でも大切な人と共に過ごせたなら、人生はどれだけ素晴らしいことか。
未熟な自分には今はまだ実感が沸かないが、いつかそう思う日が来る時に、隣にそう成る人が居たら幸せだろうな。
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