結婚を翌日に控えたフィラデルフィアの上流階級の令嬢トレイシー(ヘプバーン)と、彼女に恋心を抱く雑誌記者のマイク(スチュワート)、さらには前夫のデクスター(グラント)による三角関係(実際は四角関係である)を描いたハリウッドの古典ロマンチック・コメディ。
一見、下品に成りがちな歯に衣着せぬ物言いもヘプバーンが演じることで、登場する男性陣らと同様に“女神”と崇めたくなってしまうから不思議だ。
それまで「ボックス・オフィス・ポイズン」(興行的に失敗するスタア)と名指しされていたヘプバーンは、本作でその汚名を見事返上するのだが、今思えば彼女の醸し出す “ホットとクールのどちらでもない”キャラクター(イメージ像)は、この頃すでに完成されていたように思う。
なお、1956年の『上流社会』(出演:グレイス・ケリー、ビング・クロスビー、フランク・シナトラ)は本作のミュージカル版なので見比べてみるのも楽しい。
22 2021