ぬーたん

週末はマフィアと!のぬーたんのレビュー・感想・評価

週末はマフィアと!(1988年製作の映画)
3.9
あれ?ジャケットが、にゃい!
と思ったら劇場未公開でDVDにもなってないんだ。
もったいないなあ。
未公開のくせに何だか変な邦題が付いてるけど原題は『THINGS CHANGE』
マフィアの話なんだけど、ドンパチもなく血も流れず残酷シーンに目を覆うこともない、穏やかな映像。

1988年のアメリカ作品。
靴屋の初老の男ジーノは、容姿が似ているという理由で、殺人の罪で身代わりに自首して刑務所に行くようにマフィアのボスに頼まれる。
警察に出頭する前にリゾート地で楽しむジーノの見張り役は、マフィアの手下で謹慎中のジェリー。
ジーノ役をドン・アメチー。
当時80歳だったらしいがもっと若く見えるしダンディー。
若い頃は相当イケメンだったらしい。
この5年後に85歳で亡くなったから遺作になったかもしれない。
飄々として全てを受け入れている老いた役を好演。
ジェリーをジョー・マンテーニャ。
『クリスタル・マインド』のデヴィッド・ロッシとして有名。
この頃は若くてちょっと尖った感じ。
心根の優しい男を上手く演じた。
この2人の会話や行動が面白い。
親子以上に年が離れている。
立場的にはジェリーがきつく言ったりするけど、それをやんわりと受け答えするジーノが何ともチャーミング。
ヴェネツィア国際映画祭では2人共に男優賞を受賞したのも納得の演技だった。

リゾート地で最初に出会うのが地元のチンピラ。
それがウィリアム・H・メイシー!
若いし、金髪。態度がコロッと変わる所なんかは面白いし彼っぽい。
そのボスをロバート・ブロスキー。
特徴があるお顔と太目の身体は、どこかで観たなあ?
とは思うけどなかなか思い出せない。
80年台の大好きなドラマ『ヒルストリート・ブルース』に出ていたのね。
このドラマ、DVD化もなければ放送もなくて、寂しい限り。
すごく面白くてユニークな名作だったのになあ。
あと主題歌がとってもいい。
埋もれた名作がたくさんあるね。

リゾート地でのギャンブルや女性との色々な出来事や車のトラブルなどの珍道中、なかなか良く出来た脚本と引き付ける展開。
ジーノジイサンが人間的に魅力があって、ジェリーも仕事を忘れかなり気持ちが入ってしまう。
それを『約束は必ず守る』という一言でビシッと決めるジーノに感動する。
ギャンブルの勝負の時、地元マフィアのボスとの友情のハグ、など何でもないシーンで何故かホロリと来ちゃったのも、このジーノジイの魅力かなあ?
地味だし、特別なことはないし、恋愛もドラマティックな展開もなし!
ラストまで平凡だけど、何だかとっても温かい気持ちになる、隠れた良作だった。
スタチャンのお陰でキラリと光る作品に出会えたよ。
ぬーたん

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