シュンゴ

風の中の牝鷄のシュンゴのレビュー・感想・評価

風の中の牝鷄(1948年製作の映画)
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小津安二郎のセックス・バイオレンス・モラハラ・ホラー映画


戦後、経済的低迷・混乱に陥った時代を舞台に、出征した夫の帰りを待つ女の悲喜(ほぼ悲)を描く。


黒沢清の講演集で度々言及されていたのでみてみたら思った以上に黒沢清してた(ていうか黒沢が小津をしてたということに気づいた)

黒沢曰く幽霊映画であるという評に納得。
淡々と貧困を描き、台詞廻しもいつものあの一本調子な小津節であるにも関わらず(が故に)非修飾的な存在感→説得力のある幽霊のような田中絹代の在り方が圧倒的。


・階段のシーン
スタンダードサイズで横方向が圧迫されるのに加え、お決まりのローアングルが物理的にも精神的にも上下構造を際立たせる。
予兆としての缶の落下は完全にホラーの手法だし、音と速度がもたらす効果で、最終的にべらぼうに怖いシーンが出来上がる

・鏡のシーン
こちらも小津印な切り返しが鏡との対面によってなんかすごいシーンになってる。
絹代の無の目がすごいぜ

・髪型(前髪)
最近人物描写って意味で登場人物の髪型の変化を注意して観ることが多いのですが、この映画は髪の乱れ具合が相当バリエーション多くて楽しい

・笠智衆が若い
笠智衆が若い!カッコイイ!!

・風俗嬢に説教を垂れてはいけない
風俗嬢に説教を垂れてはいけない!ダサイ!!





「昨日からここで聞くジャズが、俺にはとても悲しいよ」
「悲しいもんじゃないさ、少しうるさいけど、やっぱり、楽しいもんだよ」