シュンゴ

或る終焉のシュンゴのレビュー・感想・評価

或る終焉(2015年製作の映画)
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終末期患者に寄り添う看護師、を題材にこれだけソリッドな不穏を醸し出せるセンス。
メキシコの監督らしからぬ湿度の低い画作りが凄く好み

ハネケ、北野武、アピチャッポン

固定ショットの端正さとそれによってもたらされる苦しさ。
序盤一連の介助シーンなんかは特にフレーム内フレームが美しいのだけど、同時に「覗き」の感覚が強くつきまとう。
カメラが動かないため、目のやり場、受け止め方に困ってしまうというか…そういう意味である種居心地の悪い能動性がもたらされる。


或る日常の中に死と虚無と美が充満していて、それと相対する営為そのものが生への動力となっている。
モンタージュで暴力的に挟み込まれるランニングマシンを踏みしめる音、運動の鼓動のようなものは動力を強化するイメージなのかと思うけど、そのエネルギーは前触れもなく簡単に反転し得る。
誰のせい?何のおかげ?という思いが頭の中で駆け巡るうちにエンドロールが終わる