ジーナ

不安は魂を食いつくす/不安と魂のジーナのレビュー・感想・評価

3.9
ファスビンダーならではの行き場のない人間や格差・差別をテーマにしたメロドラマ。

夫を亡くし、一人寂しく暮らす初老の女エミと出稼ぎ労働者の男アリ。
孤独という共通の悩みを抱える2人は運命的に出会い、心の隙間を埋め合うかのようにすぐさま結婚する。
しかし、外国人というだけでアリを敵視するエミの家族や顔見知り、同僚らからの差別が始まってしまう...

1回目の鑑賞時はトントン拍子に進んでいくストーリーだったり、後半からの展開がご都合主義的で好きでは無かったです。
例えば周囲が彼女らを(表面上とはいえ)徐々に受け入れていく展開など。
ただ、そこは皆私利私欲の為に2人を利用しようとしてる側面もあるし、また新たな差別を示唆していたり、止まない社会問題に問題提起しているのは考えさせられる。

で、解説等を調べていくとファスビンダーがあえてそう描いたようですし、一難去ってまた一難と言いたげに更なる困難が待ち受けているのが現実的。
他人からの圧力で苦悩する場面もあれば、内面から浮き出る猜疑心・孤独感から苦悩する場面もある。
それを描きたかったのであろう。
そう考えると腑に落ちた。

カメラワークは相変わらず秀逸と言えますし、希望を見出そうとできる映画だし、ファスビンダーに難解なイメージを持ってる人にはビックリするほどストレートな内容だと思います。

余談ですが、僕は16個年上の女性と付き合った事があり、結婚寸前までいったのですが...なかなか年の差って難しいもんだわな。
ジーナ

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