ほーりー

イングロリアス・バスターズのほーりーのレビュー・感想・評価

3.4
タランティーノ監督による大ヒット映画。

ナチスに家族を殺された少女と、ヒトラー暗殺の命を受けたならず者秘密部隊と、この二人の主人公の視点でそれぞれの戦いを描いた戦争アクション(……なのか?)であります。

序盤の一家皆殺しの場面は大変ハラハラしたが、話が進んでいくにつれ、殺戮シーンはあるものの、ストーリー的には今一つ盛り上がらないまま(やっぱりさバスターズ、もっと仕事しようぜ)、最後の大爆発につながるような感じを受ける。

その殺戮シーンも、あくまで個人の意見ですが、殺戮後に無常観が漂わない作品はダメだと思う。

フィリップ・ノワレの「追想」の影響を受けているという本作だけど、あの「追想」のラストで復讐を成し遂げた主人公から感じられたどこか物悲しさ、それが本作にチト欠けているように感じる。

この映画の画期的な点である、面白ければ史実も無視して描くという手法は、最初観たときは「えーー!!!」って腰抜かすぐらいびっくりした。

考えたら、忠臣蔵や水戸黄門、遠山の金さん、暴れん坊将軍とかの時代劇では史実違うなんて平気でやってる訳だが、本作のような近代史で誰もが知ってる人物をああいう風に描くのは流石に無かったと思う。

主役であるはずのブラッド・ピット率いるバスターズの印象が薄く、代わりにクリストフ・ヴァルツ扮するナチス高官ランダ大佐が鮮烈に記憶に残る。

冷酷無比な男に見えて、ねずみ男顔負けの変わり身の早さに、 他のキャラが全部食われちゃっている。

本作の演技でクリストフ・ヴァルツはアカデミー助演男優賞に輝くのだが、ちなみに本作の前々年はアントン・シガーを演じたハビエル・バルデムが、前年はジョーカーを演じたヒース・レジャーが獲っている。

三年連続でキョーレツなキャラクターがオスカーに輝いているというのが面白い。

■映画DATA==========================
監督:クエンティン・タランティーノ
脚本:クエンティン・タランティーノ
製作:ローレンス・ベンダー
撮影:ロバート・リチャードソン
公開:2009年8月21日(米)/2009年11月20日(日)
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