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日本の夜と霧のgenarowlandsのレビュー・感想・評価

日本の夜と霧(1960年製作の映画)
4.0
大島渚監督が描いた60年代安保闘争の学生たち。公開4日で打ち切りになった問題作。

正直、学生たちが話している内容、意味が全くわからなかったので、深く考えずに聴きました。

思想で対立する人たちがとことん議論する。妥協がない。妥協したり逃げようとしたり、適当にまとめようとすると、議論の場に引き戻される。
おお、現代では見たことのない光景だ。ひたすら議論と紛糾が続き、しまいには無力感に苛まれている学生たち。もしかしたらこれが「総括」?

ふと思ったんですけれど、紛糾する原因は「皆が足並み揃えて一致団結し、意見も気持ちも一つにならなければならない」と強迫的に考える人が多いからでは?

議論をファシリテーションする人がいなくて、アジるのが得意な人、大きな声の人がイニシアティブをとってしまう。全く民主的ではなーい。

議論をうまく回すのって、議長ではなくファシリテーターがいると、同じ気持ちや意見になる必要もなく、それぞれの立場でそれぞれが自分の意見に厚みを持たせられる。皆違ってそれがいいみたいに。

一枚岩って向きさえ一緒であれば後は違ってもいいんじゃないかと、熱い議論に水を差したくなりました。目的に向かう方法って人それぞれだから。

なぜ分裂するか。
多様な人を一つにしようとするからでは?
自分の考えと完璧に一致する「同志」を求め、異なれば互いに非難しあう。
一つにまとまりたいから外敵を唱え陰謀論を語る。疑心暗鬼になっていき、内部崩壊。

無力感を感じるのは興奮して話し過ぎるからでは?
高揚感の後の落差、躁と鬱が交互に現れていた。学生運動の応援歌みたいなのがたびたび流れる。歌詞に「身体を鍛えよ」とありました。

浅間山荘事件の映画、若松孝二監督の「あさま山荘への道程」を観るために予習で本作を観ました。

「日本の夜と霧」では篠田監督が岩下志麻と結婚、この作品では大島監督と小山明子が結婚しています。

時代は連続していなくて、不連続だと感じました。
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