映画大好きザウルスくん

チャック・ノリス in 地獄の銃弾の映画大好きザウルスくんのレビュー・感想・評価

2.1
誘拐、宝石強盗、ホロコースト…様々な因縁が渦巻く難事件に私立探偵チャック・ノリスが挑む!『プレジデントマン』シリーズでほぼキャリアの集大成をやり切ったチャックが最後のもう一押しのように出した現状最後の主演作。しばらく『ベスト・キッド』のような師弟コンビ系が続いていたので、最後に純粋な単独主演作を作っておこうという気持ちは分かるのですが完全にアプローチの仕方を間違えていたような気がします…。

本作のチャックが目指したもの、それは「超人ではないチャック・ノリス」です。これまでに数々の超人キャラを演じてきたチャックですが、最後の最後に超人ではない姿、腕っ節は強い方だけど無双するほどでもなくそこそこ真面目に頑張るキャラを演じたかったのだと思います。しかし、本作が公開される2年前の2003年までは『プレジデントマン』シリーズで普通に無双キャラをやっていた訳だし、このアプローチをするにはちょっとタイミングが早すぎたのではないかと…。これじゃ「こんなチャックも新鮮でいい!」よりも「弱いチャックなんか見たくない!」という気持ちが勝ってしまいます。そして普段ストーリーに粗があっても許されるのはチャックが無双してリアリティラインを落としてくれているからで、そのレベルのストーリーのまま無双という推進力だけを取り除いてしまうと「ストーリーの粗が目立ちアクションでもスカッとさせてくれない駄作」という残念な代物が出来上がってしまいます(本作はまさにそのパターン)。

今回チャックが狙ったような作品の成功例としては政界引退後のシュワが主演復帰作として作った『ラストスタンド』が挙げられると思います。あれは『ターミネーター3』から10年の時を経て、政界で成功も挫折も味わって、傷だらけで歳も取って帰ってきて、それでもなお健在っぷりを見せつけた魅力たっぷりな作品に仕上がっていました。なのでチャックもこの手の作品をやるのであれば少なくとも5年以上は時間を空けて、しかもできれば「俺はまだまだやれるぜ!」というスタンスの作品の方が良かったと思います(ちなみに本作から7年後に公開した『エクスペンダブルズ2』がチャックにとっての丁度いいベストバランスな作品となりましたね!よかったよかった🥳)。

さて本編についてですが、冒頭の導入部分だけは救出自体は失敗しているもののそこそこチャックが無双してくれて『野獣捜査線』のような雰囲気が出ていて楽しかったのですが、その後はタイトルに反して銃弾を使ってトドメを刺すシーンは1つもないし、ラスボスには建物内で襲撃されたりバスの中でボコボコにされたりして何度も殺されそうになったし(何故トドメを刺してこないのかも訳わかんないし)、その割には映画が終わりに近づいた頃に戦ってみたら何故か勝てちゃうし、爆弾の処理でドキドキさせてくれるのかと思いきやそこはアッサリ解決するし、おまけにキーアイテムになっていた太古の宝石はどう見ても現代に作られたパチモノにしか見えないし…最後に勧善懲悪な結末を迎えてくれたことだけは良かったものの、それ以外に褒められるところは皆無だったかなぁ…。

これだけチャック作品を連続鑑賞して来た僕が言うのだから今回のこのガッカリ感想はある程度信頼できると思いますよ!まあある意味『エクスペンダブルズ2』のあの衝撃的な完全復活を楽しむための壮大な前振りだと思えば…オススメできます!笑