ぬーたん

ゴーン・ベイビー・ゴーンのぬーたんのレビュー・感想・評価

ゴーン・ベイビー・ゴーン(2007年製作の映画)
4.3
2007年作品。日本劇場未公開。
ベン・アフレックの監督デビュー作。
10年も経ってしまったが、これは素晴らしい!
原作は『ミスティック・リバー』『シャッター・アイランド』の原作本を書いたデニス・レヘイン。タイトルがいい。
少女の誘拐事件を軸にボストンの下町の私立探偵カップルと刑事たちを描いている。

主役パトリックをケイシー・アフレック。
ベンの弟で今や『マンチェスター・バイ・ザ・シー』などで大活躍。
今作当時はまだ32歳位で若くて年より更に若く見えて、小柄でほっそりとした華奢な身体。
探偵としては若くやや頼りなさを感じる。
ただ、周りが”いぶし銀”のベテランジイサマ+個性的なワルばかりなので、この若さとピュアな感じがなかなか良かった。
彼の演技も私は好きだ。
裸の彼は乳首が大きめ(いや、気になっただけです(;'∀')
彼のナレーションで始まるがその声がちょっとかすれていて静かなトーンで、とても好き。
探偵の相棒、アンジーをミシェル・モナハン。
『M:i』のジュリアのイメージが強く(観たばかりだし)こんなヤバめの下町で夜逃げ専門の探偵をやるイメージとは遠いかな。
アンジーはあんまり力にもなっていない感じ。ただ、最終的には彼女の存在が必要だと理解出来た。
2人が並ぶとミシェルの方が背が高い?
あら、トムもそうだけど、小さい彼氏が多いのね。
今とあまり変わらない美貌、10年経ってもスタイル良く綺麗。
ドイル警部をモーガン・フリーマン。
出ました!警察がお得意ですが、今作はお偉い方。
まだ70歳でちょっとふっくらしたお顔とお腹(笑)
存在感は半端なく、何かありそうと思わず身構えてしまう。
12歳の娘を殺されたという過去を持っている役だが、私生活では2015年に孫娘を殺されるという悲劇が起こった。
彼の部下のブレサント刑事をエド・ハリス。
好きな俳優です。
善人も悪人もピタっとはまるし、渋くてカッコいい。
頭の方はかなり寂しいけど、それもまた良し!
今作では髪が結構あったわ。V字はかなり入ってたけど。
本物かな?ヅラ疑惑!
相棒のプール刑事をジョン・アシュトン。
あまりセリフはないけど、太っ腹で気のいいオヤジ風。
4歳のアマンダ役のマデリーンちゃんはお人形のような可愛らしさ!
ちょうど同じ頃にポルトガルでイギリス人の同じ名前の女の子が失踪する事件があって、イギリスでは公開が延期されたそう。
(この事件は10年経った未だに未解決)
その母ヘリンをエイミー・ライアン。
今作で賞を獲りブレイク。
どうしようもない自堕落の母を演じてリアルだった。
アマンダの叔母ビーをエイミー・マディガン。
エド・ハリスとは夫婦。おしどり夫婦として有名。
迫力あった。多分、最強の夫婦だわ(;'∀')
アマンダの叔父ライオネルをタイタス・ウェリヴァー。
ベンの作品の殆どに出ているベンのお気に入り?
海外ドラマで良く観る。
パトリックの友人ブッハにスレイン。
ラッパーだそうです。
ドラッグ元締めチーズ(美味しそう)にエディ・ガテキ。
『ブラック・リスト』のソロモン!
警官のデヴィンにマイケル・ウィリアムズ。
『ボードウォーク・エンパイア』ではチョーキー・ホワイト。
素敵なマフィアでした。
顔の大きな切り傷は25歳の誕生日に路上で襲われて出来たもの。
その傷から悪役が多い。
今作の刑事役は珍しいかも。
と長々俳優について書いたのは、今作は俳優陣がとても良かったから。

さて。ストーリーの方は、サスペンスでヒューマンドラマ。
色々と考えさせられる内容になっている。
しかし、ちょっと無理やりっぽい展開もあり、其々に感情移入が出来るかは難しいところ。
パトリックの背景もあまり描かれていないため、キャラもイマイチ分からないままいく感じだが、最後は共有出来た気がした。
ちょっと残酷なシーンもあるし、何より途中で突然の銃声と暗闇が襲い、ひとりで鑑賞していたオバサンは心臓がバクバクして脈が速くなりましたぞ。
寿命が縮んだわい。
でも、それがまたサスペンスの面白いところね。
ボストンの街の人々が実際に住んでいる人を撮ったせいかとてもリアルで温かい雰囲気。
一方、湖面に移る景色が鏡のように美しかったり、暗闇や夕焼けや映像がとても綺麗で、ストーリーの悲惨さとの対比が上手かった。
法の遵守や正義感や倫理性や子供のためなど色々考えさせられるし、それはまた日本では考えられないような状況の中だ。
でも、私の視点は、主人公パトリックの中にあった。
彼が悔いたことを取り返そうとした時に、私はその決意に、答えなんてないんだと思った。
やるべきことをやるしか。
ラストシーンはパトリックの気持ちで泣けた。
余韻がずっと残る作品だ。
ぬーたん

ぬーたん