田島史也

グラディエーターの田島史也のレビュー・感想・評価

グラディエーター(2000年製作の映画)
3.5
古代ローマの狂乱の一時代を描いた大スペクタクル。

規模の大きさはあえて語るまでもない。何よりも台詞が良い。メタファーの散りばめられた台詞が、物語の重厚感を高めてくれた。

誰からも愛されなかった悲劇的な皇帝コンモドゥスは、単純に悪役と捉えるべきではないだろう。それぞれの正義と思惑が交錯する中で、パンとサーカス状態の民衆を味方につけたマキシマスが妻子の仇であるコンモドゥスを精神的に追い詰めていく。それぞれの心理を的確に捉え、ある意味客観的な視点を絶えず持ち続けたことが本作の褒められるべきところだと思う。それが演出されている時点で中立とは言えないが、少なくとも、マキシマスを賛美したり、コンモドゥスを悪役たらしめたりすることは無かった。コンモドゥスの弱さや悩み、バックグラウンドを描き出し、立場が違うだけで、他の人間と等しく人間としての生を受け、今日を生きているのだと示してくれた。

初代ダンブルドア役で有名なリチャード・ハリスさんが出演。偉大なお方が似合う俳優さんだなぁと思う。彼自身が既に、慈悲深く知略に富む賢人としての風貌を備えている。彼の哲人君主たる様は、後のダンブルドアに確かに引き継がれたのだなぁと、しみじみと感じられた。

今度はホアキン・フェニックスがナポレオンになり、リドリー・スコットの手により大スペクタクルとして描かれた。観に行くのが今から楽しみで仕方ない。


映像0.8,音声0.8,ストーリー0.6,俳優0.8,その他0.5
田島史也

田島史也