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グロリアの憂鬱/セックスとドラッグと殺人のRのレビュー・感想・評価

4.5
全然知名度低いけど、個人的にはなかなかの傑作だと思ってまして、久々に引っ張り出して見てみたけど、やっぱり面白い。まさにタイトル通り、グロリアの憂鬱がドライなユーモアと共にテンポよく描かれていく。冒頭、剣道の道場で行きずりのエッチしかけて、相手を立たせられないとこから始まり、旦那は稼ぎがないくせに常に威張りちらし、15歳の息子はドラッグの売人、次男は友だちのパパに体を売ってて、どケチな姑は息子たちとは仲良しだけどいつも旦那の肩を持ち、心許せる友は同じマンションで売春をしている女だけ。他にも出てくる人物みな曲者ばかり。短い話な割に人物多いんだけど、キャラ濃すぎてみんな印象に残るってスゴイと思う。ほんで、様々なエピソードがとにかくむちゃくちゃ笑 いきなり次男をキモいゲイの歯医者に養子にやったり、キチガイな売春婦の客の相手させられたり、掃除婦として働きに行った先の作家のオッさんがとんでもない詐欺をやらかそうとしてたり、クレイジーでない瞬間がまったくないと言えるんやけど、全部当たり前で、淡々と展開するのが、さすがスペイン、さすがアルモドバル。で、散々な目に遭いまくるグロリアが、最後、バス停からカメラに向いて歩いて進んでいくショットは、貧しさと悲惨に打ちひしがれた女の哀しみが、最高にムード湧き立つ曲とともに胸に響いて、鳥肌立つ。そっからさらに最後のもうひと展開に、ジーン。良い! 久々に見ると、あぁこの映画が後にボルベールという傑作に繋がっていったんだなぁと気づいて感慨深かった。あとこの売春婦キャラの口もとの動きがサイコーにオモロいのと、こういうキャラ、アルモドバル映画にいっつも出てくるよなーと思った笑 いやーこれこそホントに偏愛の一作やわ。もっとみんなに見てみてほしい。ちなみに現役の映画監督でいちばん好きなのはやっぱアルモドバルっすね! サイコー!
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