アーリー

リミッツ・オブ・コントロールのアーリーのレビュー・感想・評価

4.0
2022.11.13

ジム・ジャームッシュ作品もそろそろ後半に差し掛かるところ。「ナイトオンザプラネット」でパリ編の主役をしていたイザック・ド・バンコレが再び登場。

「自分こそ偉大だと思う男を墓場に送れ」
それが誰なのか。どこにいるのか。どう送るのか。帰ってきた答えは、想像力を使えということ。何のヒントもなく、どうするんかなと思ってたけど、そこはさすがジム・ジャームッシュ。淡々と、ゆるく過ぎていく日常を映し出し、仲間の工作員たちとマッチ箱を交換しながら本筋に関係のない会話をする。最後標的にたどり着き、どうやってセキュリティを回避するのかと思いきや、次のカットではもう室内にいる。どうやって入ってきたのかと問われた主人公は、想像力を使ったと答える。映画的に絶対にあり得ない展開やけど、それが監督らしさであり、その作風やから出来たこと。なかなか痺れた。

スペインの街並みが美しい。この街中でカメラを回したかったから無理矢理ストーリーを考えたまである。美しいとは言っても普通の街並みなんやけど、その普通の中にノスタルジック的なものを感じる。昔一人でよく出かけてた時に感じてたものと同じような気がする。

登場人物たちの会話にハマれば、ジム・ジャームッシュの作品は楽しめる。どうしても話の展開とかで魅せるタイプではないと思うから、作中で交わされる会話に焦点がいく。そこでその会話にハマらんかったらずっとそのまま退屈で終わってしまうんやろな。

今作は結構観れる方やったし、何やったらちゃんと面白いと感じた。
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