田島史也

夢のチョコレート工場の田島史也のレビュー・感想・評価

夢のチョコレート工場(1971年製作の映画)
3.1
ウィリーウォンカの原型、此処にあり。

『チャーリーとチョコレート工場』に影響を与えまくった作品。登場人物も設定も基本的には同じ。チャリチョコは本作のリメイク版と認識しておけば良さそう。ティムバートンの本作へのリスペクトを感じられた。

大体同じだけど、違うところも幾つか。例えば本作においてはウォンカの過去は語られない。そのため、ウォンカの人間性はあまり掴みどころがない感じだった。チャリチョコで物語の軸となっていたウォンカと父親の確執と和解という部分は一切なく、その点で少し物足りなさは感じたが、チャリチョコでその物足りなさを補ったのだから、今とやかくいうべき点ではないだろう。

また、チャリチョコと比べて、チャーリーが小生意気で、不憫さに欠ける。そして貪欲さも持っている。本作では、心優しい少年ではあるものの、あくまで生意気な子供の1人、という立ち位置であり、チャリチョコほど他の子供との明確な差別化が図られていない点が面白い。

チョコレートの川は流石に難しかったらしい。チョコ感はやっぱりチャリチョコに遠く及ばない。工場内部の世界観も、チャリチョコが大きく発展させたことに気づかされる。

しかし、本作あってのチャリチョコである。多くの要素が引き継がれていることを鑑みると、いかに本作が重要な役割を担ったかが伺い知れる。

どうしてもチャリチョコとの比較をしてしまうが、本作独自の面白さも多分に含まれる。それはクスッと笑えるシーンの数々。「夫の命とウォンカのチョコレートどっちが大事なの?」「考えさせて」←笑った。20年間寝たきりのジョーおじいさんが踊り出した所も好き。世界観や装飾などは荒削りだが、その分コメディ的な要素で笑わせてくれるし、適度にミュージカルのテイストが入れられた点も良い。チャリチョコとの比較なしに、本作単体で十分に楽しめる作品であると感じた。


映像0.7,音声0.5,ストーリー0.7,俳優0.7,その他0.5
田島史也

田島史也