なお

夢のチョコレート工場のなおのレビュー・感想・評価

夢のチョコレート工場(1971年製作の映画)
3.8
「現在公開中の『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』は本作の前日譚なんですよ」
………え?そうなん?

X、旧Twitterでそんな目からウロコの情報に遭遇したため、ジョニデ主演『チャーリーとチョコレート工場』と合わせての予習鑑賞。
ていうか、新作を見に行った人の大半が本作の存在なんて(失礼)知らずに見てるでしょ。

✏️「チャリチョコ」と「夢チョコ」
ロアルド・ダールの児童小説「チョコレート工場の秘密」を原作に、1971年に映画化。
日本では劇場未公開作品で、VHSとDVDでソフト化されているのみ。
そのようなレア作品を、こうしてネットからクリック1つでレンタルして自宅のテレビで見られるとは、いやはや便利な時代になったものである。

今から約半世紀も前の映画なので全体に漂うクラシックな香りは隠せないが、こちらはこちらで面白い。
『チャーリーとチョコレート工場』(チャリチョコ)と本作(夢チョコ)で、設定や世界観に相違点が結構あるのもまた見どころ。

・世界観や街並みはこちらの方が現実的
・ミュージカル調の作風であり、ウンパルンパ以外の人物も急に歌い出す
・チャーリーの父が既に他界している
・「ウォンカ」ではなく「ワンカ」
・相変わらず変人ではあるが、ワンカが割と社交的
・工場で"おしおき"された子どもたちの末路が描かれない
・くるみ割りのリスではなく金の卵産みのガチョウ

…などなど。
その他にも相違点は多々あり、枚挙に暇がない。

個人的にあまりミュージカルは得意としていないのだけれど、こういうクラシック映画のミュージカルはなぜか別腹。
子ども向けらしく前向きで明るい歌詞と曲調のため、まるで自分が子どもに戻ってこの映画を鑑賞しているような楽しい気分になってしまった。

「チャリチョコ」はCGをフルに駆使してチョコレート工場の内部を描写していたが、本作が公開されたのはまだCGなど存在しない1970年代。
そんな中で、どのようにしてワンカが営む奇抜なチョコレート工場を表現するか…?と、制作スタッフは相当苦心したに違いない。

そんな制作スタッフの創意工夫で生み出された、「チャリチョコ」とは一味違う手作り感あふれる奇想天外なチョコレート工場内部の様子は、スタッフたちの苦労と努力の跡が見て取れる、気がする。

あと、ワンカを演じたジーン・ワイルダー。
それこそ現在公開中の新作にてウォンカを演じているティモシー・シャラメに顔の作りが少し似ているような。

ジーンは既にこの世を去っているため2人の共演は叶わないが、時代を超えた工場長のコラボレーションを見てみたかったな。

☑️まとめ
クラシック映画に抵抗感がない、かつ現在公開中の新作もしくは「チャリチョコ」ファンであれば、見ておいて損はなさそうな作品。

新作公開に伴い再注目を浴びた本作だが、当時商業的には成功とはいえず、原作を手がけたロアルド・ダールも本作の出来には満足いっていなかったそう。

しかし、他作品にてパロディ化されたり、後にかの「トムとジェリー」とコラボするなど、「わかる人にはわかる」カルト的魅力を持った作品でもある。

<作品スコア>
😂笑 い:★★★★☆
😲驚 き:★★★★☆
🥲感 動:★★★☆☆
📖物 語:★★★★☆
🏃‍♂️テンポ:★★★★☆

🎬2024年鑑賞数:3(1)
※カッコ内は劇場鑑賞数
なお

なお