まりぃくりすてぃ

ブライダル・ウォーズのまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

ブライダル・ウォーズ(2009年製作の映画)
3.1
ロマンティックとハチャメチャの両方叶う、流行りの伝統的なやつ? 花嫁になる親友同士がプラザホテルの式場を取り合う骨肉バトル。とことんやってくださいませ!

ブラッドオレンジ投下vsブルー責めのところからバチェロレッテパーティーぐらいまでのやりすぎ!の気まずさ!が期待どおりにアゲてくれたが、、、いよいよのジューンブライド(6月6日ってのはべつだん不吉じゃないのね)にかけて NOTハチャな湿っぽさへとストーリーが尻すぼまっちゃった。真実味が根本的に乏しめなまま、ちんまりとした “女の友情” 映画へと自粛というかズレていっちゃって、ちょっとサガる。
婿たちが「旧い親友だろ? ゼッタイ仲直りすべきだよ。僕も協力するから、なあ、リブと(エマと)話せよ」と諭してくれるとかが欲しくない? まあ、片方は変な男だったって流れもそれはそれでヘタじゃないけど。
ところで、ウェディングプランナーのおばさん(キャンディス・バーゲン)、あんたの事務ミスが引き金になったのに、澄ました顔してんじゃないよう。

えーと、スクリプトドクター的には、こんなのも。「親友決裂→争ってるうちに教師エマも弁護士リブも失職→日頃からのジョギングとウォーキングからの流れで両者プロレス入門→マンハッタン八番街(MSG)で “ウェディングドレス・デスマッチ” 時間無制限一本勝負の初対決→両者血だるまのノーコンテスト、乱入してきた自分の新郎を二人それぞれ吹っ飛ばし、和解したエマとリブが女同士結婚することになって五番街のプラザホテルに移動!! パチパチパチパチパチ……」

[Asシネマ  ←Aちゃんち]



親友夫妻の家で観てきました。第一子が生まれたばかりで、誘われても私は遠慮してたんだけども、「マリちゃんにだけは、(抱き上げたりはしなくても)赤ちゃんを間近で見てほしいから。半年後まで待っても世の中どうなってるかわかんないし、一度ぐらい」と懇願?され、(もちろんマスクして)訪ねた。優しい旦那さんの配慮もあって、いろいろごちそうになった上に映画(巨大テレビの)まで楽しませてもらった。
この夫婦とは私は本当に仲良しで、二人の披露宴の時、私は新婦友人代表として自作の歌をキーボードで弾き語りしたのだった! 趣味で既にほかに何曲も作ってて、手作りCD(ド素人なりに)を渡したうちの一人だったAちゃんに「とても良かった。なんだか泣いちゃった……」とまで当時褒めてもらったことがあって、それならと「新しい曲一つ作るよ。最っ高のバラードにするから」と約束した若気の至り。褒められて育つタイプだから!
イイ曲いっぱい持ってても、人前での弾き語りはムリっぽなアップテンポナンバーばっかり作ってたから、もっとちゃんとスローなやつを。
と、わりとすぐに最っ高ぎみの旋律は湧いてきた。私はいつも曲先だ。幸せな門出の日にふさわしい歌詞をどうにかしてつけなくっちゃ、、と四苦八苦してる時、私自身のカレに私は旅行に誘われた。(前から決まってた。)
電車の中や旅先で、私はいい言葉が閃いては嵌めてみたり、イイ感じに前奏や間奏を捻り出したりして、あまりカレと喋らなかった。喋っても上の空だった。キスの途中で「ちょっと」と離れたりまでした。そしたら、だんだんカレが怒りだしちゃって、、、、
まあ、旅前からじつはいろいろあったんだけども、結局、険悪度マックスな二泊三日になっちゃって、、アハハハハハ、そのあと永遠に別れた。
わめいたり泣いたりしながらも、曲は怠りなく膨らませていき、楽譜確定の後は毎日毎晩練習して、、、、
バンドサウンドでしっかりこってりご披露したかったんだが、いや、ほんとすっごい自信作なんだけど、私が人前でミスらず叩ける鍵盤の譜レベルなんて限られてて(酒癖悪いわりには肩に力が入りやすいほうだから、ゼッタイにまちがわないようにと思って伴奏はもう小学唱歌並みのシンプルさにして)、直前練習のしすぎで声が嗄れそうになっちゃったりしてもう緊張で緊張で恐怖で本番前日までに心臓麻痺しそうだったんだけど、
それとともに、当日の衣裳のことでも悩んだ。ただの余興とはいっても記念動画には残るし、やっぱ大好きなAちゃん(&既に私と意気投合済みのお婿さん)のためならそれなりに蘭か百合か薔薇ぐらいにはならないと失礼、って思うじゃん。貸衣装とかも考えた。母にも相談したりした。結局、ちょっと過剰なトライ。わざわざこの弾き語りのためにだけ10万円ぐらいのドレス買っちゃったのだ。もちろんそういうことは新郎新婦にはゼッタイ内緒。アクセも一個新調した。祝儀は祝儀で弾んだから、金欠に。。。。(自分の別れの件も言わなかった。後になって言ったけど。もちろん作曲とは全然関連づけずに。)
で、とにかく当日が来た。宴の途中で着替えするわけに行かないから初めっから私はドレス。は・に・か・ん・じゃうぅぅ。新婦並みに目立つのは常識違反だとは、そりゃ知ってる。幸か不幸か彼女の招待客中、私の直接の知人友人は一人もいない状況(ふん、この日のために男と別れたばかりなんだからね、ボッチ&アウェー ←ヒット&アウェイみたいな語感。。)。開き直って私は堂々と目立ってみることにしたのだった。
最強のお一人様は、塗りすぎの重たい顔で無表情にほほえみほほえみ、何とか自分の緊張をほぐそうと努めつつ会場へと降り立った。
Aちゃんたちの感謝ぶりがまたナカナカで、私の作品の歌詞を式次第にわざわざ挟んで全員に配ってくれて、そのカードの隅に、題ばかりじゃなく作詞作曲者名(私。エヘン)までシッカリ印字してくれちゃって、、ラメ入りドレスのせいもあって披露宴の最初っからもう大半の客が私をチラ見・ガン見・リピ見しまくるやら。。。。
フレンチの味があまりわからなかった。
とにかく宴クライマックスのバラード披露に向けてでっきるだけ深呼吸を繰り返して、、、途中、係の人が寄ってきて何度も短い打ち合わせ。「大丈夫ですね?」みたいな問いかけもあったりして恥ずい。不安で不安でこんなに震えそうになるぐらいなら、誰かバンドマンたちに協力仰いでせめてカラオケトラックぐらい用意しとけばよかった。(そういう友はいない。)
バンドサウンドでこそゼッタイ響くほんといい曲なんだ! 貧しいキーボード一つ(一応、初歩的パーカッションつき)でどこまで引き立たせられるのか、ムリっぽなんだけど!
とにかく、さあ、本番だ!! 「ステキな歌手の方にお越しいただきました」みたいな冗談きつい司会に微苦笑させられつつ、最低限、バスガイド平均よりはCA(エコノミークラス)寄せみたいな気持ち、すなわち極上の微笑へと。ああ、死にそう! 歌前の拍手がスゴイわ! 誰か業界関係者とかいたらスカウトされちゃいそう。。。。。 コホン

☟こんなふうな内容
  恋の魔法解けても 愛のキレイ続くの…………
   (以下、略。初夜に臨む花嫁の恍惚を想い描いた世界)

声はちょっと出にくかったけど、なんとかなんとか、指も喉も一度も間違わずに済んだよ、たぶん。。 にしても貧しい、素直すぎる弾き語りだなあ。ああ、バンドサウンドでやりたかったよぉ。ロックが最善だけども、トミ・フラみたいなオシャレピアノを背にアニタ・オデイみたいな白ジャズっぽくでもよかった。。ああ、ほんとにこれじゃ小学音楽教師の独唱だ! もうあれこれ思っても遅い。
ふう、終わった。パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ! 礼。(四十秒ぐらい鳴りやまず。アンコールなんて用意してねえよ!)

さて、こうして招待客の前に突如出現した謎のオルガン歌手マリクリに披露宴後半はいったいどんなフンイキへと突入したのか、狂喜・騒然・陶然・拍子抜け・失笑・グッタリのどれなのか私はもう私自身の肩の荷をやっと下ろせた安堵感でおいしくおいしくコーヒーを啜るばかりでどうでもよくて、「無事に終わった。無事に終わった…………(さあ、ここからは喰いまくったろぉ!)」と思った時には今書いたとおり既にコーヒーの時間帯なのだった。
両隣席とかの女性らとかたくさんが「スゴいですねー」「スゴい」「よかったー」「上手でしたー」と言ってくれた。披露宴後も廊下とかいろんなとこで私は褒め称えられた。
だが、、、、、どの人もほとんど同じことばかり言った。「お綺麗ですね」「歌がお上手ですね」「ほんとに歌がお上手」「ステキな装いで」「お美しくて」「歌、うまいですねえ」………………え? 誰一人、「いい曲ですね」と言ってくれない。
え? え? 私はこのために(これのせいだけじゃないけど)男と喧嘩別れして今日来てるんですけど、あのぉ、曲どうでした? 曲ぅぅ。。。。。

気づいたら私は二次会にいた。もちろんそれまでに何度も至福の涙目のAちゃんが私をギュッギュしに来た。旦那さんももう私のファンになっちゃっててサインをせがんできたぐらいだった。
今さらながらアウェーな場であいかわらずピエロなぐらいにドレッシーすぎる10万ワンピ(ラメ入り)に締めつけられてる私は、初対面のみんなから引っ張りだこだったが、やはりその時間帯になっても「素敵なお洋服ですねー」「ビックリするぐらいお歌うまかったです。プロのシンガーじゃないんですか?」とかそんなお世辞ばかりが舞いつづけていた。
たまたま私に狙い定めたらしい体格よいイケメン(態度はやけにカジュアル)が一人いた。まあ、ナンパみたいになってた。肩の荷が下りすぎてた私だから、いい調子でその人とぺたぺたくっつきそうになってた。そりゃまあ、二次会ですし。デレデレ。彼が得たビンゴ一等賞品を私が冗談で「欲しい」と言ったらすぐさま「あげるよ」と手渡してくれたりして、ちょっと妖しいスイーツな雰囲気に。。
しかし、大切なことをしっかり思い出した私は、この人にならとまっすぐマジメにほほえみかけて尋ねた。
「ぶっちゃけですけど、あの曲、どうでした? 歌詞もふくめて相当頑張ったんですけど」
「あ、あれね、レトロなフンイキですごくよかったですよ。昭和の歌謡曲っぽくて」
次の瞬間、私はテーブルを平手でバン!!と叩いて相手を睨みつけた。
「失礼ね! スローロックよ」