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山椒大夫のhideharuのレビュー・感想・評価

山椒大夫(1954年製作の映画)
4.4
2021.1.10 DVDで再見。

溝口は「雨月物語」が評判が良くてそちらから入ったものの当時LDで発売となったものを購入して鑑賞しました。しかし高画質を謳っているのにレストアなんか微塵もしてないのではってくらい画質悪いわ雑音入るわで印象悪く他の作品を見ようと言う気にはならなかった。

でも溝口監督は人間的にはどうかと思う節はあるけれど日本人の監督の中では好きなベスト3には入る。そう思えるきっかけを作ってくれたのがイギリス国立映画館の溝口特集だった。外国では日本以上に溝口の評価は高くて、この特集上映も歴史ある国立映画館でもトップを争うくらいの盛況で「雨月物語」なんかチケット取れなかった人も多かったと聞く。
自分は当時まだ英語学校に通っていたのでマチネーとか比較的空いている時間帯に観に行けてラッキーだった。

その特集で何本か見た中にこの「山椒太夫」があったのだけれどすごく衝撃的だった。子供の頃から「安寿と厨子王丸」で親しんできた物語がこんなにも悲惨なものだったと思わなかったから。そして古いながら映像の美しさはレストア済みであのLDとは大違い。

ラストは号泣してしまいましてが周りを見ると泣いているのは日本人観客だけでイギリス人を含む外国人はほとんど泣いてなかったのも衝撃!
こう言うのが文化の差なのかな?何て考えるきっかけになった。

そしてこの後の数年間は「山椒太夫」の再上映のあるたびに映画館に通ったものでした。
そして溝口の「雨月物語」を含め「赤線地帯」や他の作品も映画館やDVD購入で見るように。
海外、特にヨーロッパでは溝口は人気ありますからソフトも沢山出ています。
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