こたつむり

ゴースト・オブ・ガールフレンズ・パスト/ゴーストたちの恋愛指南!のこたつむりのレビュー・感想・評価

4.0
♪ 暗く長い洞窟を抜け出して見渡せば
  永遠に生きる為の勇気 感じるその瞬間

本作の脚本を仕上げたのはジョン・ルーカス。
やはり、この人と相性が良いのでしょうね。
ビル・マーレイ主演の『3人のゴースト』と同じように、古典『クリスマス・キャロル』を下敷きにした物語ですが、本作のほうが圧倒的に楽しめたのです。

これは偏に主人公に“共感”できるかどうか。
その違いが大きいのでしょう。
『3人のゴースト』の主人公は利己主義が前面に出ていましたが、本作の特徴は「歩く生殖器」と言えるほどの女たらし。同じ“クズ”でも軸が違うのです。

それに彼の場合は歪んだ理由が明確。
しかも、序盤で手の内を晒してくれますからね。彼がどれだけ歪んでいても抵抗感が無いのです。

逆に言えば、ヒロインに魅力を感じませんでした。ただ「他人様の恋路に口を出す奴は馬に蹴られて死んでしまえ」とも言いますからね。積極果敢にスルーしたほうが良いのでしょう。それに、この辺りは性別によって受け止め方が違うと思います。

なお、物語としてはベタな展開が続きますが、古典を下敷きにしている時点で当然の話。大切なのは「どのように描くのか」ですし、それを考えれば優しさと刺々しさを巧みに両立させた筆致は良かったと思います。

特に見事だったのは伏線の張り方。
一番美味しいところを持っていくのが、まさか×××だとは…。開いた口は塞がらず、ただただ笑みが零れるだけでした。うひひ。

なお、地味に配役も豪華です。
主演はマシュー・マコノヒー。叔父役はマイケル・ダグラス。しかも、過去の彼女はエマ・シーン(あれを彼女と呼ぶのかは不明ですが…)。B級映画とは思えない布陣ですね。

まあ、そんなわけで。
新型コロナの所為で“孤独力”を試される昨今、ベタなロマンティックコメディは爽やかな清涼剤。暗いトンネルを抜けるためにも映画で癒されたいところです。ただ、意外性は皆無なので『桃太郎』を読むような気持ちで臨んだほうが吉です。
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