じぇいらふ

ニックス・ムービー/水上の稲妻のじぇいらふのレビュー・感想・評価

3.9
🎥ヴィム・ヴェンダースレトロスペクティヴ&彼の作品観まくらんかシリーズ⑦⛴

『アメリカの友人』で贋作作家を演じた、ひたすらかっこいい映画監督ニコラス・レイ。それから2年後今度はそのニコラス・レイの死の間際をいっしょになって撮影するという、ヴェンダースの主演の異色ドキュメンタリー映画。、、、いろいろきっつい作品です😅

🎞️1979年4月4日 アメリカNY タクシーからヴェンダース監督自身が降りる 友人のニコラス・レイ監督の自宅にやってきた。寝ているレイを起こさずに、隅っこで旅の疲れで寝るヴェンダース~はじまり

📖共同で新作映画を撮る話をする為にニコラス・レイ監督の自宅にやってきたヴェンダース。しかしレイは肺癌で死期が近づいて、体調が芳しくない。しかたなく今のニコラス・レイを自分が撮影するという、フィクション入り交じったドキュメンタリーを作ることになるのだが。。。というおはなし

ニコラス・レイ監督は、『理由なき反抗』『大砂塵』等アメリカ映画の巨匠で自分も好きな監督です。作品も素晴らしいですが、フリッツ・ラングと同じく目悪く(優れた映画監督はなぜか目が悪い人が多い説)アイパッチ姿がワイルドでかっこいいビジュアルの監督です。そんな彼を敬愛し、友人でもあるヴェンダースが訪ねてくるのですが、もう最初から体調悪くて、うーうーうなっては咳き込んだりするニコラス・レイのマジな闘病姿がとても痛々しくてつらいです。

ヴェンダースが自分自身でニコラス・レイの間際の姿をそのまま撮影したい~というのも凄い話なのですが、そのことについてニックス=ニコラス・レイと度々会話しているのが興味深いです。撮影するはいいが、明らかにだんだん衰弱するニックスにこんなことしてよかったんだか?という自問自答と悩み始めるヴェンダースと、そんなの気にするなとやたら強気のニックス。師匠と弟子、同じ映画作家同士の作家としての稔侍と虚勢?が垣間見えて、凄いと思うと同時に、やっぱり明らかに辛そうで観ててきついですな。

35ミリ映像の中でのヴェンダースは、ふらりとやってきて一人でいるなんかとてもフィクションな役者としてふるまっているが(ヴェンダースも演技?自然で役者みたいだな😆)ビデオの映像になると周りの大勢のスタッフが映ってドキュメンタリーぽくなる。虚実ない交ぜの不思議な感じ。

後半になってくると、ニックスの妻スーザンやら、よくわからないが講義のシーンとか、長回しが出てくる。撮りっぱなしはニックスには明らかに負担増だ。

巨匠でどんなにかっこよくても、やっぱり年を取る、病気になるっていうのは、苦痛というどうしようもない現実との戦いで疲弊することなんだなあ~とわかって、年取るのいやだなあとか思ってしまう。

最近いろいろ訃報多いので、死を考えてしまうが、これも死を考えるには良い?作品。きついけど。

『水上の稲妻』最初の企画らしいがは、結局なんなのか?よくわからない笑