こたつむり

ドラえもん のび太の大魔境のこたつむりのレビュー・感想・評価

3.6
★ 秘境は実在した!
  コンゴの奥深くに眠る巨神像の謎を追え!

人工衛星からは撮影できない魔境。
そこに至るまでには、百獣の王者がひしめくサバンナや、呻き声が響くオドロンドロの谷などを越えなければならない…なんて血沸き肉躍る物語。

うひょひょひょひょ。
興奮しますねえ。しかも、冒険の途中で樹の上に登ってランチ(木の実を割るとカレーライスが!)なんて場面があるのですよ。いやぁ。子供の頃は、のび太たちが羨ましかったですね。

そして、大人になった今。
改めて鑑賞してみたら、前作『のび太の宇宙開拓史』よりも原作を尊重していることに気付きました(勿論、どこでもドアを失う描写など、改変されている部分もありますけどね)。

確かに原作の完成度は折り紙付き。
物語に贅肉が無いのです。そんな素晴らしい作品を尊重して映画化すれば…そりゃあ、傑作になるのも当然ですよ。

しかも本作は“伏線”を大切にした物語。
秘密道具を封印する理由や、窮地を脱するための知恵など、きちんと伏線が張ってあるのです。そして何よりもジャイアンの心理を巧みに描いた筆致。強引でワガママな少年がどのように変化していくのか。もうね。涙無くして語れない成長譚がここにありました。

ただ、正直なところ。
前半の冒険に比べると後半の展開が失速した気がするのは…やはり、原作に縛られ過ぎたのでしょうか。本作の構造で言えば、後半はスピーディに畳み掛けるように展開した方が良かったと思います。

でも、そんな苦言は子供には関係なし。
うちの愚息は完全に前のめりでしたからね。
やはり、ジャングルを冒険する…というシチュエーションは、子供たちにとって鉄板なのです。

まあ、そんなわけで。
王道の冒険ものに加えて、自分の言動に責任を持つ…今では貴重に思える姿(皮肉ですよ!)がサラリと描かれた名作。背景で流れる武田鉄矢さんの歌も噛み締めるように鑑賞すると…更に楽しめると思います。

To be continued… →→→ 『ドラえもん のび太の海底奇岩城』
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