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ブラッディ・ミッションの消費者のレビュー・感想・評価

ブラッディ・ミッション(2008年製作の映画)
2.8
・ジャンル
サスペンスホラー/デスゲーム

・あらすじ
舞台は進学校として知られるチャンイン高校
生徒達は学業で凌ぎを削りながらも仲睦まじく学生生活を楽しんでいた
しかし突如として不穏な出来事が発生する
男子生徒、ボムが中間試験中に錯乱を引き起こし更に女子生徒、イナに襲いかかったのだ
思わぬ事態に驚きを隠せない生徒や教師達
だがそれはその後の惨劇の始まりに過ぎなかった…
試験後間もなく他校の生徒達が招請授業に来るのを控え、特別クラスに集められた成績上位者達
彼らが授業を受けていると教室のテレビに恐ろしい光景が映し出される
それは成績1位の優等生、へヨンが何者かによって水槽に閉じ込められた姿
そしてチャイムと共に流れ出す放送
驚きを隠せない一同に告げられたのは生徒の命を賭けた“試験”の実施
更に学校を出れば殺される事が示唆される
突然の事件によって校内はパニックに陥り問題を解けずにいるとへヨンはそのまま溺死させられてしまう…
その後も次々の問題が出されては1人また1人と生徒が姿を消し“答え”を刻まれた状態で遺体として発見され続けていく…
外部との連絡手段が遮断され、逃げ場を失った彼らは果たして全ての問題の正解を導き出せるのか?

・感想
「絶叫!コンポヨンファフェスティバル2022」で日本初公開となった「コ死:デスロワイアル」を続編とする作品
主人公、イナ役をSEEYA出身で本作が役者デビューとなるナム・ギュリが演じている

エリートの集まった進学校で命を賭けた試験が行われる、という設定はさほど目新しい物ではなく邦画っぽいので期待はあまりしていなかった
その予感は残念ながら当たり、全体的にとにかく粗の目立つ作品という印象

物語の導入では主人公、イナが苦学生ながら成績1位を誇っていたジウォンの亡霊を目の当たりにする悪夢が描かれており、霊の姿はその後も錯乱に陥った生徒、ボムや“試験”中のイナが目撃している
結局これは心霊物に見せかけるミスリードだったんだけどオチを考えるとそれらの描写は余計だったと思う
あくまでジウォンの亡霊を犯人に見せかけるのみで十分だったはず

次に試験における問題の無意味さ
全問題の正解を導き出せば死を止められる、というルールがある中で生存者達が正解してもガンガン殺人が怒っていく
にも関わらずタイムリミットが設定されている訳ではないので切迫感がいまいち感じられない
可能な事は被害者を最小限に抑える事のみ、というのは絶望的で悪くないけどそれならせめて問題を鑑賞者が謎解きとして楽しめる形にするか
あるいは「ソウ」シリーズの様に装置で追い詰められていくか
いずれかでないとただ生存者達があちこち奔走してるだけとなってしまうので面白みが感じられない

ボムの錯乱も背景が弱く暗躍していた理由としては不十分
いくら殺陣を目撃していたとしてもあそこまで追い込まれていたのは良く分からないしイナを襲ったのも意図が不明のままという有り様

そして被害者達の描写不足
それぞれの人物像があまりに描かれていなさ過ぎて「また死んだな」以上の感想が出て来ない
殺される総数が少ないんだから一つ一つの死をもっと濃厚に描くべきだし、それには人物像や過去の闇などがあった方が望ましい
ロマンス描写にも同じ事が言えて協力しあって問題を解いてこそいるけど特に発展する訳でもないなら入れた意味が無いと思う

何より引っかかったのは黒幕の正体
何者かに殺害された生徒がいたら保護者を教師達が把握していないのはあまりに不自然過ぎる
ジウォンと関係がある者の犯行と明らかになった時点で疑念が向けられていないとおかしいだろ、と…

更に細かい事で言えばちょこちょこ挟まれた癖の強いサービスショットも要らなかった
そういう事をするなら何かしら性的な要素が話自体に絡んでいないとただ女性キャストを玩具にしてるだけな訳で…
成績順に殺されてんのに生存してる内から知性を全然発揮しない人間ばっかだったりというのもあってとにかくキャラの扱いが雑過ぎる

唯一悪くなかったのは凝った殺害方法
とはいえバラエティーに富んでいた、というだけで斬新な手法があった訳ではないので評価する程ではないかな…
流血こそしていたけどゴア描写としてはヌルいし身体破壊がある訳でもないので
悪夢や幻覚に現れたジウォンのビジュアルはそこそこ怖かったけど真相に関わってこないからノーカン

元よりアイドル映画感が滲み出ていたから別にそこまで怖さや面白さがあるとは思っていなかったけどそれにしても色々と中途半端なんだよな…
次作では粗が改善されてれば良いけど…

しかし次作は「コ死」という原題がそのまま採用されているのに何で今作はこんな邦題になったんだ…?w
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