けーはち

大酔侠のけーはちのレビュー・感想・評価

大酔侠(1966年製作の映画)
3.3
政府高官が盗賊に捕まり人質交換を持ちかけられ、剣の腕に覚えのある高官の妹が、その巣窟に単身乗り込む。力及ばず倒れる彼女を救う密かな存在──物乞いの“酔侠”、彼の技は達人の域に及ぶ!

香港の黒澤、キン・フー監督の初期作品。時代柄モッサリアクションでトランポリンもワイヤーも無いし、達人の超絶技巧は身体能力で魅せる方向より剣を身体で弾き返す硬気功とか手からブワーッと風が出て相手を吹き飛ばす百歩神拳とか、ファンタジー系というか特撮の怪獣寄りで、試行錯誤中なるも、武侠の基礎はある程度出来上がっている。

「能ある鷹は爪隠す」系の酔いどれ達人が子供を引き連れてわらべ唄の形で女剣士にヒントをくれたりとコミカルなタッチを交えつつ、人質交換の駆け引きや策謀、達人側にも兄弟子との葛藤などがあり、意外にもしっかりとストーリー展開し、硬軟取り混ぜて飽きさせない。反面もっとテンポ良くビシバシとアクションをくれ、という感は否めないので、後年の作ではそのバランスを模索していくのだろう。