たりほssk

ぼくのバラ色の人生のたりほsskのネタバレレビュー・内容・結末

ぼくのバラ色の人生(1997年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

鮮やかで美しい映像なので、かわいい男の子のかわいい夢のお話かと思ったのですが…内容は相当シビアなものでした。
リュドヴィクは、自分は大きくなったら女になるんだと確信しています。自分が女の子であるという思いは、身体と心の性が一致する人と同じぐらい強く、彼にとっては自然で純粋な感情でした。だからなぜそれがいけないと言われるのか、彼にとってはわからない。わからないまま無邪気に自分の気持ちを表現し、周囲に翻弄される様子がとてもよく描かれていると思いました。
家族は彼の気持ちを尊重して育てようとするけれど、異質な者に対する悪意や偏見はどんどんエスカレートし、だんだん耐えることができなくなっていきます。学校を退学させられ、家族は孤立し引越を余儀なくされ、父は失業…両親は離婚の危機に…特に母アンナが豹変。それを言ったらおしまい、というような言葉をリュドヴィクに投げつけ始める。リュドヴィクの表情はだんだん曇り…しかたなく男の子のように振舞おうとする。
まわりの偏見に負けず、家族が踏ん張るのかなと思ったけれどそういう展開になりません。シビアです。
最後クリスの登場で光明が差して来て、アンナの気持ちも和らぎ、少しほっとさせられます。が、問題が解決したようには思えなかった。それは、これはすぐに解決する問題ではなく、リュドヴィクの成長とともにこれからも考えていかなければいけないからなのだと思います。
リュドヴィクが憧れるパムの世界はカラフルでポップで、本当にきれいでかわいい。彼の純粋な気持ちを表しているかのようでした。
たりほssk

たりほssk