こたつむり

マカブル 永遠の血族のこたつむりのレビュー・感想・評価

マカブル 永遠の血族(2009年製作の映画)
3.1
♪ 激しく流れ出した赤色
  誕生まで狂いそうに叫んだ 闇の中で

インドネシア産『悪魔のいけにえ』。
しかも、迷い込んでしまうバージョンではなく、招待されるバージョン。その積極性が地味にイヤな作品でした。

特に主演女優の存在感は抜群。
まるでカマキリが擬人化したような表情、動き、喋り方。ひとたび見たら忘れないタイプです。夢の中まで追いかけてきそうな感じですね。

被害者は基本的に良い人たちばかり。
若干一名ほど女性に弱いタイプ(誰でも口説く)がいましたけど、それでも人柄がにじみ出ているのか、非難する気になれません。なので、襲われる理不尽さが際立つんですね。

また、飛び散る血液量は当社比3倍。
インドネシアはホラー大国との話ですが、その中でも一際に鮮血で紅く染めたそうです(あまりにも流れ過ぎて、誰も彼もがツルツルと滑っていたのは少し滑稽ですが)。

本作はそんな好条件ばかりのホラー映画。
「これは傑作だ!」と諸手を挙げて誉めたいところなんですが…。

残念なのが一点。
全体的に緊迫感が足りないんですね。
例えば、被害者からは本気で逃げる気持ちが伝わってきません。そりゃあ、いきなり襲われたらパニックになるでしょうが「両腕縛られても指先フリーなら何か試みろよ!」と言いたくなるんです。

また、加害者も同様。
もっと事務的に手際よくこなさないと「こいつらはガチだ」と思えません。というか、後片付けを考えたら、血飛沫プシャアッは効率が悪いですよね。最初に血抜きするのと、ビニールシートで養生するのは必須だと思います。

それに広そうな屋敷ですからね。
複数の人間を収容するときは個別に分けた方が良いし、拘束具は専用のものを用意した方が良いと思います。最初は出費がかさみますけどね。トータル的に考えたらコスパは良いかと。

まあ、そんなわけで。
狂気を楽しむのではなく、血糊の量を楽しむ作品。僕には“そういう趣味”はないので、あまり前のめりにはなれませんでした。ほら、僕は穏健派ですから。いや、ホントですよ。我が家に拘束具なんてありません…うふふふ。
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