OASIS

闇のバイブル 聖少女の詩のOASISのネタバレレビュー・内容・結末

闇のバイブル 聖少女の詩(1969年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

両親がおらず厳格な祖母に育てられた美少女ヴァレリエが、ある日村にやって来た旅芸人の一座と関わった事で不思議な世界へと迷い込んで行くという話。

ゴシック・ロリータ作品の中でも最高峰と呼ばれるチェコ映画。
主演のヤロスラヴァ・シャレロヴァの、可愛らしく時に色気を含んだその伝説級のルックスが眼福。
まるでアイドルのイメージビデオのように、こちらに向かって微笑みかけて来たり挑発して見せたりするオープニングが素晴らし過ぎて、カットが切り替わる毎に荒んだ心が洗い流されて行くような清涼感が爽やかに吹き抜けていった。
オープニングだけで既にその笑顔の虜になり、ノックアウト寸前であった。

魔術師や吸血鬼、魔女や悪魔等、非現実的な存在と現実に存在する美少女とが共演するマジックレアリズム的世界は「不思議の国のアリス」の様であるが、死後迷い込んだ亡者達が蠢いている狂乱の世界の様でもあり。
そんな狂宴の場に迷い込んだ美少女が、血を吸われ、牧師に襲われ、火炙りにされ、とおとぎ話とはかけ離れた地獄めぐりをさせられる様は嗜虐心を誘った。
火炙りにされるシーンの髪で髭を作る仕草が可愛過ぎた...!
あのシーンでどうしても「小さな悪の華」を思い出してしまうのだった(若干ネタバレ)。

叔父さんや叔母さんがヴァレリエの若さと美しさを襲いその生気で若返ったり、かと思えばすぐに元に戻ったりと、怪人二十面相かと思うほど忙しなく見た目が変わって行くので、どれが本当のおじさんでどれが怪物なのかこんがらがる事も多々あり。
ヴァレリエが好意を寄せた青年だって本当に存在するかどうかも怪しいし、今目に見えているものが果たして真実なのかという感覚が支配していて、モヤモヤとする状態が最後まで続いた。

イングマール・ベルイマンの「第七の封印」に出てくるような魔術師や吸血鬼と、村の美少女達が輪になって楽しそうに踊るシーンはある種の狂気を感じるし、映画自体も夢なのか現実なのか分からない曖昧な映像が狂ったように大量に溢れ出して来るので思考の迷宮に陥ってしまいそうになる作品だった。