このレビューはネタバレを含みます
ヒッチコックの「ゆすり」
2012年3月14日 17時24分レビュー。
1929年、脚本(他二名)、監督アルフレッドヒッチコック。
イギリス時代の監督10作め。イギリスにおいてのトーキー初の作品。
途中までサイレントのような感じは、
「サイレント映画をトーキー映画に撮り直した事情」から来ているようです。
水野晴郎さん発売の「モカビデオ」シリーズで鑑賞。
ヒッチコックの「サイコ」ベイツモーテル前から前説、後説を力説する水野さんが微笑ましい。
ウィズダムビデオコレクションにて鑑賞です。
イヤーヒッチコック、やっぱり、面白いなぁ。
凡百な「ゆすり」物語を映像で語るその姿勢。
テレビ二時間推理ドラマからハリウッドで本作と似たり寄ったりの話をどれだけ映像化していることでしょう。
そんな表現をヒッチコックは、83年前に映画化しているとは、本当に恐れ入ります。
ヒッチ、おん年30の時の作品。
キャラクターを魅せる為に、「長い」キャラクターの性格描写の長廻しは、初期作品からも充分伺えます。結構くどいです。そこが良さであり、悪さかなと思います。
物語は、とある痴情もつれから殺人を犯した女性。恋人は、警察官。
そこにブラックメイルを握る前科者の「ゆすり」がかかる!
果たして顛末はいかに?
ヒッチコックの映像を駆使する姿勢
今なら「台詞」でウダウダ説明したり
被疑者事情聴取している部屋の取調べ室的な映像で
「お前がやったんだろう」
「実は、、(犯行状況モノローグ)」
的な箇所をヒッチは、
スーパーズームでわからせる
ある意味省略しすぎの、
不丁寧さ、
映像表現一球主義
叙情的な盛り上げにも取れる人にはとれるという映像のこだわり、カットわり。
これを「説明もしくわ台詞」にするか
「映像」にするか
で映画の成り立ちがかなり変わってきます。
ヒッチコック特有の「じれったい」ほどの
「もどかしい気持ち」にさせる「サスペンス」
観客にわからせてあげるサスペンス
サプライズとサスペンスを混同させた作品が多すぎる!
と「映画術」ではヒッチおっしゃてますが、まさにその通り!
ラストは、すんごい絶壁な場所にチェイスする感じは、後期「北北西に進路とれ」とかにも見える手法!
初期にこの形はすでに見えてることに深くため息。
これだから映画監督の初期作品は、後期作品の萌芽的要素が、すべてが詰まっていて見つける事が楽しいんですね。
ヒッチコックもこの時から魅せていました。
ヒッチコックの的確なカメラ位置も刮目すべき点です。
アップ、バストショット、フルショットの素晴らしい位置配置
ゆすりをやりとりするこの女優さん、ドイツ人のアニーオンドラが素晴らしい表情を魅せてくれます!
ドイツの女優さんで一切「英語」がしゃべれず、後レコにしたそうです。
ラストは、
ヒッチコック自身違ったようで、本来バットエンドを考えていたようです。
プロデューサー意向で変更になったようです。
さてヒッチコックが魅せる
ゆすり とは?
ヒッチコックの技と癖がしっかり感じ取れた一作でした!
追伸
水野晴郎のモカビデオ他に結構あるんで見てみようっと。(追加追記もう
、モカビデオも廃盤だす)
今、評論家のテレビべシャリがのきなみDVD化されてますよね。
淀川さんの解説も今度ボックスで発売されるんで驚きです! ていうか、ほしい。
ヒッチコック探究はつづきます。