和桜

処刑人ソガの凄まじい人生の和桜のレビュー・感想・評価

処刑人ソガの凄まじい人生(2009年製作の映画)
3.7
凄まじい豚映画だった。
ドミニカ独裁体制下で処刑人として育てられた男の実話に基づく話。表の職業が肉屋なので至る所に豚がいる。本物の生きた豚を血抜きし目の前で捌かれる場面は、目をそらしてはいけないんだけどそらしそうになる。豚の顔をアップに潤んだ瞳でこちらを見続けるシーンが何度かあり、まるで豚達の目線からドミニカの腐敗した社会を映し「人の業」を問いかけてくるかのよう。

アクションは皆無だが、実在の人物の過去として復讐に至るまでの心理描写が細かく結末も切ない。ドミニカ映画の音楽は独特だし当時の社会情勢も伝わってくる。だけど豚の存在がそれ以上に大きすぎた。
あの豚はきちんと食べられたのか逃げ延びたのか。普通の食育映画より豚肉や命について考えてしまう『ベイブ』以来の衝撃作。
原題は「LA SOGA」でこんなけばけばしい邦題ではない。
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