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マルコムXのyuuuumiのレビュー・感想・評価

マルコムX(1992年製作の映画)
4.2
アメリカの、イスラム教徒の黒人解放運動の指導者として、とても影響を与えた人物を描いた伝記映画。

前半は白人の姿に憧れを抱き、白人のように髪をストレートにしたりやんちゃな若者でありながら、幼少時代に夢を抱く事が罪であるかのように虐げられ、黒人としての未来を押し付けられる日常に嫌気が差したかのような反動が大人になってからの行動に現れ、善と悪の境界線のない、爆発したかのようなくすんだ輝きを放っていた。

刑務所の中で自分の進むべき道を照らされ、人間としての尊厳や自尊心が芽生える中盤から、空っぽのボトルに水が満たされたかのようにいろんな事を吸収し、満たされていくような人物へと変貌していく姿が、前半と同一人物であるのが嘘みたいだった。

演説をしていく中で、黒人が不当に拘束されたり様々な確執が描かれていくが、影響力があるマルコムがまるで祭りあげられているような感覚も否定できず、この時代の黒人の白人に対する怒りは計り知れないものがあるなと感じた。

正しいと思っていた事があらぬ方向へ向かったり、人にはそれぞれの思惑があり、出る杭は打たれるものなのだ。

かなり長尺ではあるが、マルコムXという人物の波乱に満ちた光と影どちらにも焦点を当てた映画は、理解しやすい作品だった。
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