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キミとボクの距離のKANAのレビュー・感想・評価

キミとボクの距離(2016年製作の映画)
3.8

邦題がヌルいしジャケットはニコラス・スパークス臭がプンプンだけど、設定がアンテナに引っかかってて…ひやかし程度に観始めたらモロ好みだった!

火星移住計画ミッションの際、あろうことかリーダーの女性宇宙飛行士の妊娠が発覚。
火星にて息子を産み落とすと同時に命を落とす。
時を経てティーンエイジャーに成長した少年ガードナーは地球との接触を制限されていた。
彼のカラダはもはや火星に順応しており地球の重力に耐えられないのと、計画の汚点となるため。
しかし地球への関心が膨らむばかりの彼は宇宙空間を超え、自分のルーツを探す旅へ・・

何より映像の美しさ、画面作りのセンスのよさ。
火星では青白いフィルターがかかり、荒涼としながらもロマンを感じる。ヴィルヌーヴ作品や『ガタカ』ような、静謐でシックなSFの世界観に近い。
一方地球でのシーンは主にコロラドなどのアメリカ原風景を圧倒的な色彩と共に捉えててその美しさにガードナーとともに感動させられる。
空と海、そしてエイサ・バターフィールドの瞳の青さ!
レトロな複葉機で大空を舞うアクションシーンはまるでファンタジー。宮崎駿監督に見てほしい。
紙吹雪?みたいなもので弾ける笑顔と青空を眩く演出する高揚シーンはXドランを思わせた。

閉鎖空間で母親の会見などのビデオを何度も観て"Mom…"って、それだけでウルッとくる。
彼の切なさの核…。

地球に住む少女タルサとの父親探しの冒険=恋の逃避行シークエンスは展開的に少し雑な気もするけど、とても好感が持てる二人だし前述の通り映像美があるから大目に見れる。
水の冷たさも火の温かさも顔に当たる風の感触も感じられなかった彼がタルサを思うことによって"人間"になれたというくだりがグッときた。

ガードナーに訪れる命の危機。
さぁどうなる?
ラストの括りは秀逸。
地球に憧れても、火星はやっぱり大切な故郷だよね。

P.S. 個人的にミスチル『君が好き』のMV (窪塚洋介出演)のストーリーと重なった。大人の都合で隔離された男女、リミット性、近未来の世界観…
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