Cisaraghi

野良犬たちの掟のCisaraghiのレビュー・感想・評価

野良犬たちの掟(2005年製作の映画)
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イタリア語タイトルは「犯罪小説」。実話をベースにした小説が原作。

細部はともかく、雰囲気はLAコンフィデンシャル。登場人物がやたらに多く、話もよくわからなくて長いわりには退屈しなかった。

この時代のイタリアの不穏な空気がよく伝わってくる。実話が元だし、モロ元首相誘拐殺害事件、ボローニャ駅爆破事件など、実際に起きた有名な事件とリンクして話が進むので、フィクションとして割り切って楽しめるハリウッド映画と違って重い。この時代のイタリアのギャングは、こんなに簡単に人を殺したのか?人を殺すことをこんなに簡単にやっていたのか?と背筋が寒くなる。

それにしても、イタリアの俳優の面構えというのは、どうしてこうも皆立派なのだろう。顔だけで絵がもってしまう。立派だが、端正というのとはまた少し違う。線が太く、どの顔にも風格があるというか。唯一イタリア人らしくなく、線が細くて端正なフレッド、演じているのは、イタリア、スコットランド、ドイツ、オランダなどにルーツを持つキム・ロッシ・スチュアートさん。

LA コンフィデンシャルのキムベイシンガーにあたるパトリッツァと、崇高な聖母的キャラクターを担うジャスミンさんの二人の女性が、両極端ながら俗を遥かに離れて美しい、と言えば、男女問わずどんな人もどこか俗を離れた風格を感じさせるところがイタリア映画に登場する人々に共通しているのかも。

人の顔には非常に味わいがあるのだけれど、最近見たイタリア映画の風景にはあまり心動かされなかった。そこに比重を置いていないのか、それともこちらの好みの問題?今後の考察点。
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