たらこパスタ

動くな、死ね、甦れ!のたらこパスタのネタバレレビュー・内容・結末

動くな、死ね、甦れ!(1989年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます


一番印象に残ったのが、こんなことになるとは思ってなかったのに....な結果を凝視めるワレリカ少年の描写でした。死に至る音も含め、外の音が全て無なのでワレルカの現象をみる主観的な意識に関心が集中させられました!その意識がすごく生な感じがして、自分の結構大事になってやばかったな....という幼少期のときに感じた感情の部分のみ(背景事情に紐づかない)をかなり再現性高く思い出した気がした...!そういった種類の普遍的な感覚を想起させられているのかもしれない.... ワレルカくらいの年齢は多くの場合、自分がちょっとした悪戯心で行った結果起きる現象のやばさを予測するには因果関係への体系的な理解度がもう少し欲しい年頃と思います!
でもワレルカのお母さんの様子を観ると大人たちも因果関係が意味をなさない逮捕の恐怖があったのだとも思い怖かった。

あとこの物語内においては、周りに子どもを守ってくれるものの存在の欠如や社会の締め付けの苦しさという点が、悪戯が大事に至ってしまうハードルをかなり下げているように思いました。その中でサバイバルを強いられる子どもたちの逞しさとかよわさを感じたし、それを通じて監視されている恐怖も感じた。ワレルカが列車から引きずり下ろされてボコボコにされるシーンの背後のいる棒立ちの住民たちに背筋が凍った、しかもこれボコボコにされてる動き→その右上に小さくいる人に視線が誘導されて本当に怖かった

ワレルカがみる日常はどれも生き生きとしていて、躍動感があった!ひとつひとつのシーンが即興的に感じる部分や、ドキュメンタリータッチな土地の質感とか!あとワレルカの声が変声期の発声が不安定な感じだったり、ガリーヤのほうが大人びているバランスがボーイミーツガールな趣きも感じて瑞々しかった!ガリーヤの雰囲気や神出鬼没さはちょっと大人で影のある同級生への憧れとか、実在の人物じゃなさそうな神秘性を思った!ガリーヤも声が好きだったな 
恩人なのにお茶売りのためには妥協せず競合他社の営業妨害をしていく姿勢💪

ラストに線路の上で起こった出来事は、2人を直接写していないからか、今までのワンシーンワンシーンの独立感からか、なんだか視点が物語の外へ追いやられていき、2人の物語がもう少し任意性の高い幼少期とその終わりについての所感(誰のかは明言のない)に思えてきた。うまく言葉が見つからないけどひと呼吸おいてページを閉じた瞬間みたいな感じでした。
でもこの呆気なさがやるせないな....

鑑賞後に映画監督の藤元明緒さんとこの映画を配給してくださってる村田悦子さんのトークがあり面白いエピソードや作品の魅力により気付けるお話しが聞けたのですが、その中でキャスティングについてエピソードがありました。
ワレルカ役の方は地元の学校で教室のど真ん中で一人タバコを吸ってBAD BOYっぷりを発揮していたらしくたしかにやんちゃっぽい感じがぴったりだと思った
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