寂しさを紛らわすためにしていることは、私たちをさらに寂しくさせるのだと思う。
ハリウッドスターのジョニーはどこへ顔を出してもちやほやされる。
だけどよく見てみると、みんなそれぞれの仕事をこなしているだけだったり、スターだからという理由で近付いてくるだけだったりする。
身内の集まりみたいなパーティーでさえ気軽に話せる知り合いはいなくて、部屋の隅で黙って酒を飲む。周りに人がいてもいなくても、常に特殊メイクの型取りをされているときと同じ、目も耳も口も塞がれて息苦しい。
同じように踊るにしても、同じようなミニスカートでも、愛想笑いを浮かべながら見てしまうストリッパーと前のめりで見守りたい娘では、たぶん全然違う。
テレビゲーム、卓球、夜中に頼むジェラート、プールの底のお茶会。彼女と過ごす時間はどれもゆったりと流れていく。ジョニーの慌ただしい生活が霞んでしまうぐらいゆったりと。
女性のキスマークがひしめく左腕のギプスを、ちぎるように外していく。
ルームサービスのお皿を積み上げ、今度は自分でパスタを茹でてみる。
「僕は空っぽだ。何者でもない。一体どうすればいいんだろう」
「あなたなら大丈夫、ちゃんとやっていけるから」
パスタはふやけて食べられたもんじゃないし、フライドポテトを投げて食べようとするたびに失敗する。でもそれでいいんだと思う。
白い塗料まみれになった彼に近づいていくカメラ、プールサイドでまどろむ親子から離れていくカメラ。その視線は優しくて穏やかで、観客まで包み込んでしまうぬくもりがあった。
( ..)φ
実はソフィアコッポラ監督の映画は初めてでした。
めちゃくちゃすきだった~めちゃくちゃ小津さんだった~!なんだか懐かしい気持ちでいっぱいで、たくさん笑ったし泣きそうになった。
名誉市民に選ばれた途端、手形を取られてテレビクルーが突撃。絶対にでっち上げられているインタビュー、そして謎のバックダンサーに囲まれる罰ゲームみたいな授賞式。いちいち何かを考えている余裕なんてないジョニーのスケジュールはコミカルでシニカル。でもなんかあったかいんだよね。すごく好きな映画!