こぅ

メゾン ある娼館の記憶のこぅのレビュー・感想・評価

メゾン ある娼館の記憶(2011年製作の映画)
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「私の目をえぐり出すわ あなたの挿れる穴が増えるなら」

ベルトラン・ボネロ脚本/監督による、
高級娼婦達の【官能・群像劇】。

【’11年セザール賞 7部門ノミネート作品】。


20世紀初頭、パリ。
高級娼館"アポロニド”の女達は、毎夜美しく着飾り、男達の欲望を満たす。
しかし、美しく華やかな表舞台とは裏腹に、娼館の日常は女達の孤独、苦悩、不安、痛みで渦巻いている。
やがて閉館を余儀なくされた彼女達は…。


・脚本
アヴァンタイトルでプロポーズされるマドリーヌ(アリス・バルノール)。
幸せ絶頂かと思いきや、
後ほど、いきなり挿入されるショットはショッキングだ!!

モノクロOPクレジットもテーマ曲*も渋い。
全てを仕切る館長のマダムと舘で衣食住を共にしている娼婦達とお客とのやりとりを、その中でのそれぞれの苦悩や孤独感を 群像劇 として短く優雅に綴っていく。
アデル・エネルは、終始不機嫌そうなレア役、
新入り16歳のムチムチ ポーリーン(イリアナ・ザベス)も加わり、娼館/お客とのルール説明も興味深い。
特に大きなエピソードがあるわけでも、誰かに特化するわけでも無いが、主人公は、マドリーヌだという主張は揺るぎない。
ピクニック意外ほぼ娼館でのワンシチュで構成されているが、シャンパン風呂や着物コスプレ、仮面、お人形さんプレイ有りと当時の娼館を覗いているようで興味深く、飽きはしない。
貧巨おっぱいが惜しげもなく出てくるも、その全ては エロ目線 ではなく 芸術/文芸 として観れる。
笑う女、柔肌、蔓バラ、美脚、、呼び名がユニーク。
また、娼婦達のオフ/食事中の雑談も面白い。
娼館で生きる/働く女達は ハンパな気持ち じゃ務まらない、身体張って人生を賭けているのだ、というテーマが観る者に伝われば良い。


・総評/作風/撮影
こんなだらしない格好の
衣装が全く違う 創作ジャケ写 は腹立たしくクレームものだが、本編は、ライティング含む撮影、ゴージャスな美術/衣装/メイクの当時の再現度/ムード作りに うっとり没入 出来る一級品。
その撮影の素晴らしさは、娼館の絶妙な ライティング のファーストショットから一瞬で確信出来た!
ライトな内容ではないが、ヘヴィ過ぎずな作風も絶妙。

要所要所で、スプリット・スクリーン も登場するが、本作の背景/時代にマッチしていたか⁈は疑問。

劇伴は、ここぞ という場面にしか流れないのは効果的で成功している。

ラストショット/締め括りは、
彼女ら/歴史を感じられて感慨深く、意表を突くアイデアのエモい締め!
これは上手い!!


*注記
テーマ曲はちょいこのオリジナルトレーラー中に

https://youtu.be/sb_Dgbj_E5c?si=U4ktAK8gTIjNR-ec
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