倉科博文

キャリーの倉科博文のネタバレレビュー・内容・結末

キャリー(2013年製作の映画)
2.9

このレビューはネタバレを含みます

【総評】
ブライアン・デ・パルマ版、視聴済み

作品自体には色々穴があるし、こちらがデ・パルマ版よりも作品全体の完成度が劣るのは理解できるけれども、僕個人的にはキンバリー・ピアース版の方が好き
何故なら、クロエ・グレース・モレッツが可愛いから
シシー・スペイセクは怖いって

逆に、クロエが可愛いが故に作品が不自然になる感じも否めないけれども、これはアイドル映画なのだと割り切ってます
「キック・アス」シリーズはあまりにも、おふざけの方向に振り切っているので、シリアスなトーンの”クロエを観る”ならこの映画がアイドル映画として至極の一本だと断言できる

【俳優】
クロエ・グレース・モレッツ演じるキャリー・ホワイトは泣いても笑っても可愛いので、そこに少しでも感情移入させるには、抑圧するものはとことん怖く、虐めるものはとことん嫌味に、そして味方するものはとことん鷹揚に脚色する必要がある
その面で、キャリーの母マーガレットを演じたジュリアン・ムーアの存在感は大きく、理不尽な存在へのフラストレーションを十分に感じさせてくれた

【構造】
なかなか納得し辛い部分があるのは事実
・まず、こんな可愛い子が虐められるか?
・母マーガレットが月経を隠すところまでは分かるが、邪(よこしま)だから月経になる、と責めるまでは行き過ぎでは?
・キャリーが、プロムのステージ上で血塗れにさせられた場面で、先生が一緒になって笑うようなことがありうるか?
・キャリーが想いを寄せていたトミーという青年が死んだかどうかも分からないのに、あそこまで激怒するか? 先にトミーの安否を確認するのでは?
などなど・・・

シンプルな構造ゆえに、これが気になってリアリティラインが下がって物語に共感出来なくなるのは事実だった

【構成】
消極的にイジメに加担していたスーという少女が、物語の途中で悔恨の情から、キャリーへの罪滅ぼしの行動を取り始めるが、これが物語の推進力を一時的に削ぐ気がする
ここから、短調から長調へ転調する様に、物語の推進力は”トミーとのプロムへの参加”という楽しい動機へと変わっていくが、本作自体の不穏なトーンは背後で流れ、クライマックスへと続いていく
最後の虐殺シーンは、これまでのやられた仕打ちからは明らかにtoo muchであるが、これはデ・パルマ版でもそうで、むしろ主犯格であるクリスとビリーへのお仕置きに関していえば、ピアース版での構成は正当防衛的でもあるという意味でより自然だとも言えるかもしれない